「盲点の窓」の領域にお宝は眠っている
では相手の隠れた願望やニーズをどう見つけ出したらよいのでしょうか? それにはなによりもまず、相手を丁寧に「観察」することです。
日常のなにげない会話や無意識の言動、周囲とのコミュニケーションの取り方のなか、その人が本当に欲しているものや解決してほしい課題、隠れた才能や仕事のポテンシャル、人間的な魅力が見え隠れしているはずです。
あまり周囲の人が気づいていない、本人も意識化できていないシャドウの願望や魅力に光をあてるのです。その人のなかにある「当人が知らない」価値を見つけて、ポジティブに「推す」。
実は、この知らなかったことを「知っている状態」にすることが、当人が主体的に動くきっかけになるのです。
参考になるのは、アメリカの心理学者であるジョセフ・ルフトとハリントン・インガムが考案した、自己理解と他者理解を深めるためのモデル「ジョハリの窓」です。この有名なモデルは、自分についての情報を「自分が知っている・知らない」「他人が知ってる・知らない」という2軸で整理したものです(図参照)。
ここで、自分は知らないけれど、他人が知っているのが「盲点の窓」の領域です。例えば、口癖や態度、考え方の癖、無意識の行動などがそれに該当しますが、この領域に、相手の隠れた願望や才能や可能性が潜んでいます。
自分が気づかない場所に宝(自分の魅力)が眠っており、それに「どのような意味があるのか」「どこが素晴らしいのか」を言語化し、ポジティブにフィードバックしてあげることで、その人は大きな気づきを得ることができます。
ひとたび気づきを得ると、人はその願望や才能を開放するための行動へと踏み出しやすくなります。そして行動を継続することで、「自分が知っている・他人が知っている」こととして共有されていき、組織やチームにおいてコミュニケーションも円滑になっていくでしょう。
さらにいうなら、ビジネスシーンにおいて、本人がわかっていることを引き出すことは必須条件ではあるけれど、十分条件にはならない。
「盲点の窓」から「開放の窓」への移行をサポートするために、相手を観察し、勇気づけながら推していく――それは他者への最良のGiveとなりますし、特にマネージャーやリーダーの重要な役割といえます。
人の隠れた資質に光を当てるにあたって、ひとつ注意点があります。それは、できる限り早い段階で、才能や魅力に気づいてあげることです。

