映画『フルメタル・ジャケット』が示す教訓
そのことを示す象徴的なシーンが、スタンリー・キューブリック監督の映画『フルメタル・ジャケット』(1987年製作)に出てきます(以下、ネタバレ含みます)。映画の前半で、ベトナムの戦地へ行く前の海兵隊訓練生たちの姿が描かれるのですが、そこに上官にいつも叱られている動きの鈍い訓練生がいて、彼のせいで他のメンバーたちも罰ゲームなどの貧乏クジを引かされ続けます。不満を溜めこんだ訓練生たちは彼にリンチを加え、この出来事が彼にとって大きなトラウマになってしまうのです。
ただ後日、彼には他の者にはないすごい才能が判明します。それは、彼には圧倒的な射撃の才能があるということでした。ここにきて上官は、彼にもようやく才能があったと褒めるのですが、時すでに遅し。彼は精神的におかしくなっていて、最後には上官を射殺したあげく自ら命を絶ってしまうのです。
戦争映画だけにハードなエピソードですが、ここで伝えたいのは、メンバーの才能や特質は、早めに気づいてあげなければうまくコントロールできなくなる場合があるということです。
そうした才能や特質は、コンプレックスで抑圧されて顕在化していない場合も多い。つまり、コンプレックスで抑え込まれている期間があまりに長引くと、せっかくの才能を引き出すタイミングを失いかねないばかりか、本人も気づかぬうちに才能の悪用に転じてしまうリスクもあるのです。早めに才能を見出されれば、優秀なセールスパーソンになれたところが、闇堕ちして詐欺師になってしまうケースもある、というとわかりやすいでしょうか。
人間の心はとても繊細なもので、いったんついた心の傷はなかなか癒やされません。人の才能や魅力を引き出すのにも時間制限があるということを、決して忘れないでほしいと思います。
INFORMATION
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