すでに東京の湾岸エリアの中古タワマンマーケットに兆候をみることができる。売り在庫が急激に膨らんでいるのだ。昨年秋の時点で売り在庫が前年同期比で4倍に、買い需要は半減している。売り側はインフレの進行で不動産価格の上昇は続くとみて強気の価格設定を行う。1住戸で1億7000万円から8000万円程度の売値を崩さない。ところが湾岸タワマンを実需として買い求めたい世帯年収で1500万円から2000万円のパワーカップルが夫婦ペアローンを組んでも1億2000万円から3000万円が限界。さらに今後の金利上昇や管理費、修繕積立金の引上げ予測などを加味するとこれ以上の背伸びができない状況にある。いっぽうで投資用物件として考えても表面利回りで2%前半くらいでは、今後の金利上昇を考えると投資対象になりにくい状況にある。実需にも投資にも適合しない価格レンジにあってはさすがに取引が成立しないのが現在のマーケット概況である。

©Faustostock/イメージマート

円安が支える不動産市場で「外国人による投資」は…

 こうした論理を翻す可能性があるのが、外国人による不動産投資熱だ。昨年12月、日銀が利上げを行い、欧米との金利差は縮まったにもかかわらず、ドル円レートは円安に振れるという皮肉な結果になった。世界の金融マーケットで円の信認が落ちていることの表れだ。

 さらに皮肉なことに金利が上がるにもかかわらず、円安状態が継続することは投資に支えられている日本の不動産マーケットを買い支える勢力が温存されることを意味する。円安が続く限り日本の不動産は外国人投資家からみて相変わらずの大バーゲンセールであることに変わりがないのだ。彼らの実需としてのニーズが継続できれば不動産マーケットの相場をある程度維持できるのではないかという期待がもたげてくる。

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 外国人投資家は区分所有マンションの爆買いだけでなく、アクティビストを通じて日本の大企業不動産の掘り起こし、スピンオフを促し、排出された都心優良不動産を外資系不動産投資ファンドの傘下に入れている。

 だがここで気になるのが、高市内閣が選挙時にも触れていた外国人規制だ。相互主義の観点から外国人の不動産買いを規制しろとの主張が根強い。こうした声に応えて選挙後、外国人による投資に厳しい規制がかけられるようになれば、最後の頼みの綱を失った不動産マーケットはどうなるだろうか。

 当然だが、現状の実需マーケットにおけるローン水準、不動産投資における期待利回りに収斂する価格に調整されるはずだ。今後の高市政権の動きから目が離せない。

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