「知り合いにギギそっくりな女子がいて、リアル感ヤバかった。。。」
ミュージシャンのスガシカオが、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の感想をXに投稿したのは2月1日、日曜日の昼。1月30日金曜日に映画が公開されてすぐのことだった。
「魔性の女」であり女性の共感を呼ぶギギ・アンダルシア
特に主題歌を歌っているわけでもなくタイアップ契約を結んでいるわけでもないにも関わらず、スガシカオのようなトップクラスのミュージシャンが「ただ見たいから」という理由でアニメ映画を公開初週のレイトショーで見に行きその感想を書く、そうしたことに誰も驚かなくなるほど日本のアニメ、そして『機動戦士ガンダム』というコンテンツを取り巻く環境は20世紀から変わった。
「見た目もまぁ似てるけど、キャラが・・・ヤバい 本人的には今週5人に似てるって言われたそうです 汗」
ファンからのリプライの反響を受け、続く投稿でそう綴ったスガシカオが指す登場人物「ギギ」のフルネームは、ギギ・アンダルシア。今作のタイトルである『キルケーの魔女』は彼女のことであり、この映画で観客に最も鮮烈な印象を与えるキャラクターでもある。いわゆるファム・ファタルとして、敵味方を問わず男性たち、とりわけ主人公のハサウェイを惹きつけるからだけではない。
「どうかこの子の想いが叶いますようにって自然と感情移入してた ガンダムの女の子にこんなに共感できたのは初めて」
そんな女性観客の投稿が2000いいねを超えるほど、ギギへの共感は高い。通常、ファム・ファタル(魔性の女)は典型的な「男性目線」のキャラクターであり、女性観客の反発こそ受けても、共感を得ることは少ない。だが、ギギ・アンダルシアに限ってはその相反する2つの特徴が渾然としたまま両性の観客に支持される不思議な現象が起きている。
ある男性にとってこの世のどこにもいないようなファム・ファタル的な美女でありながら、女性にとっては「あの子に似ている」「私と同じ」と共感を喚起する、スガシカオの言葉を借りれば『リアル感』のあるキャラクターなのだ。
「わかりやすくない」映画がなぜここまでヒットするのか?
不思議な現象が起きているのは映画についても同じかもしれない。『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』公開22日間で興収20億1292万440円を突破するヒットとなっているが、映画の内容は大衆受けするエンタメ映画の常道から大きく離れた、驚くほど挑戦的な作品だからだ。
