初めて島に行ったタイミングで東日本大震災が……

――そもそも、カオハガン島を知ったきっかけは何だったのでしょうか。

杉浦 最初に知ったのは、おじとおばがきっかけです。私が大学1年生のとき、2人が獣医ボランティアで、カオハガン島に行く機会があったそうで、家に遊びに行った時に、お土産話として島での出来事をいろいろと聞かせてくれました。

 でも、当時は「そんな島もあるんだな」くらいにしか思わなくて。勉強や就活が忙しかったこともあって、しばらくは島の存在すら忘れていたんです。

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――そこから、どうしてカオハガン島に行くことになったのでしょう。

杉浦 就活で疲れていたときに、ふと「日本とは違う仕組みや価値観で回っている場所に行ってみたい」と思ったんです。そこで暮らしている人たちと関わったら、私も変われるかなって。

 じゃあどこに行こうかと考えていたら、本当に偶然、カオハガン島のスタディツアーのパンフレットが目に入りました。そこで「おじとおばが話していた島だ」と思い出して。周りが就活をしている中、カオハガン島に出発しました。

――スタディツアーではどんな体験をしたのでしょうか。

杉浦 ホームステイみたいに島の家庭を訪問したり、そこで船に乗せてもらって釣りに行ったりしました。就活を通して自信がなかった私を、これまでの経験や肩書とか何も関係なく、ありのまま受け入れてもらえたのがとってもうれしかったですね。失っていた自信を少し取り戻せたような気がしました。

 ちょうど向こうにいるときに東日本大震災があって「帰ったら、私の知ってる日本じゃなくなってるのかな」と思いながら過ごしていたのもあって、滞在は1週間くらいだったんですが、しばらく島での体験が忘れられませんでした。

――その後、2014年に島へ移住されました。興味があったとはいえ、海外の、それも島に移り住むには勇気もいりそうですが……。

杉浦 島のことを考えているうちに「なぜこの島の人たちは、無条件に人を愛することができるんだろう」「あの島にいるだけで『生きてていい』と思えるのはなぜだろう」と気になるようになって、大学の残りの時間でカオハガン島の研究に力を入れたんです。卒業論文も『学び合う観光~フィリピン・カオハガン島が投げかける「豊かさ」への問い~』というテーマで書いています。

 それで島のことを分かっている気になりましたけど、本当に知るには住んでみないと、という思いもあって。京大を卒業したあとはインターンやアルバイトをしつつ、何回かカオハガン島を含めてフィリピンにも行きながら、移住を決めました。