幹部自衛官の道を選ばなかった理由

——幹部自衛官の道に進まなかったのは、どんな理由からですか。

松田 いくつか理由があります。「私なんかが幹部自衛官になっていいのだろうか」と悩んでしまったことや、実家が金銭的に安定してきたこと。防大における男性に有利な仕組みを知り、「これは『自衛隊だから仕方ない』のか」「それを考えるにはもっと社会のことを知らなければならないのではないか」と考えたこと……。

防大卒業式の日に撮影(本人提供)

 さまざまな要因がある瞬間にピタリとはまり、「辞めるなら今しかないだろう」と考えました。

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——「男性に有利な仕組み」とは何でしょうか。

松田 私は防大に入るまで、男女に優劣があると思っていなかったんですね。でも、当時の防大には7%しか女子がおらず、女子というだけで下に見られることがあり、それを覆す術がありませんでした。

 私は陸上自衛官を目指すコースに進んだんですが、そこでは体力至上主義が特に顕著でした。体力のない者はお荷物。体力を付けるために毎日10キロ走って、筋トレして、それでも評価はされない。

 訓練時、「女子はお荷物なんだから、もうちょっと自分のできることをやろうとしたほうがいいよ」と男子学生に言われ、どうやっても認めてもらえない辛さを強く感じました。

撮影=橋本篤/文藝春秋

 一方で、「徒歩行進中、重い銃を持てない女子はお荷物」であることも、残念ながらその局面だけを見れば事実です。徒歩行進中に生理が来ても、ナプキンを替えることもできません。

 そのような経験を経て、女性であることは自衛隊においてマイナスではないかと強く感じました。

次の記事に続く 「これだから女学は」「わきまえろ」究極の男性社会に挑んだ19年前…エリート自衛官の道をあきらめた“防大女子”が「税金泥棒」批判に思うこと

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