人々が熊本へ旅立つヘブンを見送る中、1人で部屋にこもり、『日本滞在記』を開く錦織友一。突然、咳き込んで喀血すると、涙を滲ませ虚空を見つめる――。台詞なしの約1分に及ぶ名演技で松江編を締めくくったのは、俳優の吉沢亮(32)だ。
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「トキとヘブンと錦織、3人の物語といっても過言ではない」
制作統括の橋爪國臣氏が振り返る。
「表情や雰囲気だけで、錦織の感情が伝わってくる。俳優・吉沢亮の凄さが表れているシーンだと思います」
『なつぞら』(2019年度前期)以来6年ぶりの朝ドラ出演となった吉沢。松江中学の英語教師でありながら、ヘブンを公私ともに支えるために奔走する健気な姿が、「まるでヒロイン」と話題を呼んだ。橋爪氏は、
「『ばけばけ』はトキとヘブンと錦織、3人の物語といっても過言ではありません」と語り、吉沢のキャスティング経緯について明かす。
「錦織はトキとヘブンに並ぶ重要な役。柱となって、オーディションで選ばれた2人を引っ張り、見守ってくれるような信頼感のある俳優さんとして真っ先に浮かんだのが、吉沢さんでした」
吉沢と言えば、実写邦画の興行収入歴代1位に輝く大ヒットを記録した映画『国宝』での、約1年半に及ぶ壮絶な役作りが記憶に新しい。『なつぞら』、大河ドラマ『青天を衝け』(21年)に続き3度目のタッグとなる橋爪氏も、吉沢の役作りへの姿勢やストイックさを目の当たりにしている。
美しく完璧すぎる所作に日本中が溜息
今回、英語での長い台詞に挑戦した吉沢だが、
「きちんと台詞の意味を理解した上でお芝居したいということでクランクインの数カ月前から週何回か英語のレッスンを受け、空き時間にもシャドーイングをするなど英語漬けの生活を過ごしたそうです。その頃は、会う度に英語が上達していたので驚きました」(同前)
撮影ではトミーに「きれい、違和感ない」と言われる英語を披露。そんな英語交じりの台詞を口にしながらも、
「吉沢さんは、1度も畳の縁や継ぎ目を踏むことがなく、美しく、完璧に所作をこなしていました」(所作指導・藤間豊宏氏)




