共演者がふり返る“現場での意外な素顔”

 また、吉沢は役作りの一環として、錦織のモデルとなった西田千太郎の旧居にも足を運び、その存在を体で感じたという。橋爪氏は、「千太郎はあくまでモデル。彼の魂の部分だけ残して、錦織というキャラクターを作りあげてもらった」と話すが、ストーリーは史実と重なる部分も多い。島根大学で小泉八雲を研究する宮澤文雄准教授が語る。

「千太郎は若い頃から“大磐石”と呼ばれる秀才で、八雲が松江に来てからは、高い英語力で彼の創作活動を支えました。一方で、ドラマでは錦織が教員資格試験に落ちたことが明かされましたが、千太郎自身も試験で5科目中4科目が1位の成績だったのに、英語の科目だけを落とし、教員資格を得られなかった時期がありました」

 そんな錦織と比べ“半分弱”と称されるライバル・庄田多吉を演じたのが、濱正悟。第85回で2人が再会したシーンをこう回想する。

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「微妙な関係性を自然に表現できるように、吉沢さんとは事前に打ち合わせしすぎないようにしていました。西洋料理店で再会し、向かい合って座るシーンでは、カットがかかった後、2人とも思わず『なんか気まずいね』とシンクロしましたね(笑)」

 今回、髙石やトミーとともに、松江ロケに参加した吉沢。そこで彼がハマった郷土料理があるという。松江フィルムコミッションの中村和美氏が語る。

「濃いめのつゆが特徴の出雲そばです。ロケでお出ししたところ、すごく喜ばれて、わざわざ調理場の裏まで来られて、『とても美味しかったです。ありがとうございました』とご挨拶をされたそうですよ」

錦織の物語はどんな結末を迎えるのか?

 ヘブンが熊本に旅立ったことで校長への道が潰え、さらに病の兆候も表れる錦織。史実では、千太郎は結核を患い、34歳の若さで亡くなるが、

「松江を離れてからも八雲は手紙や写真を千太郎に送り続け、彼の死の間際まで交流は続きました。激情家で交際を断つ癖があった八雲ですが、千太郎のことだけは、『本当の男の心』があると褒め、『手紙の返事がなくて寂しい』と(こぼ)すこともあったという記録が残っています」(前出・宮澤氏)

 橋爪氏も続ける。

「錦織の物語はまだ続き、その中でトキやヘブンとの関係にもきちんと結論が出てきます」

 日本映画界の“大磐石”の再登場に、期待が高まる。

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