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特集集まれ「インターネット老人会」

90年代に『新世紀エヴァンゲリオン』の二次創作小説が大流行した理由

庵野秀明監督の手のひらの上で踊らされ続けて四半世紀

2018/08/19

今の4G通信の1000分の1以下のスピードですよ

 そういった個人運営のエヴァサイトの中でも、一番勢力が大きかったのが、二次創作小説。当時はエヴァFF(ファンフィクション)とか、SS(サイドストーリー、ショートストーリー)とか色々呼ばれていましたが、とりあえずここでは二次創作小説と呼びます。

 当時はネット回線も貧弱で、64kbpsのISDNが「高速」と言われていた時代。これ、今の4G通信の1000分の1以下のスピードですよ。そして貧弱なPCで誰でもできることと言えば、文字入力でした。こういった事情からも、エヴァの世界観やキャラクターを使った二次創作小説が、90年代後期のネット上では大変流行していました。今はそのほとんどが消滅し、時期的にインターネット・アーカイブに収録されていないものも多数あり、記憶に頼る部分が多いですが、それでも当時の隆盛ぶりは報道の中にも残っています。

©iStock.com

 例えば、1998年9月24日の朝日新聞には、「『新世紀エヴァンゲリオン』など人気作の場合などは数万件のSSが展開されたといわれる」という記述があるし、1997年9月29日のAERA「中途半端が心地よい? 大人になれない30代ボーイズ・失欲」には、大手新聞社勤務の30歳既婚記者がエヴァの二次創作小説を書いている事が紹介されている。まあ色んな人達が、色んな話を書いておりました。

 面白いのは、その中から商業化した作品が出たとこです。今でこそ、ネット掲載小説が商業出版されたり、アニメ化されたりするのはよくありますが、当時は珍しいことで地方版ですが新聞記事にもなりました。商業化にあたって、エヴァ要素は削除されていますが、元がエヴァのキャラクターだけ使って後は完全オリジナルみたいな作品でしたので、名前変更くらいで済んだとか。

1997年に撮影された庵野監督 ©文藝春秋

個人サイト内に設置された掲示板が主戦場に

 私はほぼ「読み専」でしたが、そういう界隈をうろついていて、同年代の中高生10人くらいでオフ会したりとか、いかにも90年代のネット文化っぽいことをしていました。そのうちの何人かは今でもゆるい繋がりがあります。

 当時のネットも殺伐とした部分があって、特に個人サイト内に設置された掲示板がその主戦場になっていました。怪文書の書き込みはよく見かけましたし、時たまオウム真理教のネット部隊が、警察批判を書き込んだりしていました。2chもSNSもなかった時代で、個人サイト上で殴り合いが行われていた訳ですが、プロバイダ責任法もなかった時代だからこその光景だったのかもしれません。

 私がネット上での活動を本格化したのは2010年代に入ってからですが、根本の部分は90年代に作られたと確信しています。苦い思い出もありますが、概ね楽しいものでしたし、この経験がなければ、今の仕事はやってなかったでしょう。そのくらい人格形成に影響があったと思います。

©iStock.com

 改めて書いてみると、同じネットでも20年前と今とじゃ全然状況が違っていて、つくづく老人化したなあ、と感じさせられました。もし、これを若い人が読んで、昔のネットのアレさに引いていたら。大丈夫。君もすぐに老人になるから。

 しかし、これほど隆盛した90年代ネットのエヴァ界隈も、今はもうほとんど見ることはできません。電子の彼方に消えてしまいました。今のネット上の流行もまた、同じ運命を辿ってしまうのでしょうか。

 あ、それと念の為。『破』の上映に礼服で行ったのは、知人の結婚式が重なっていたからです。ほんとだよ。

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