これまでいくつもの名場面が繰り広げられてきたWBC。「平成の怪物」こと松坂大輔も、数々の活躍を見せてきた。ここでは『松坂大輔 怪物秘録』(石田 雄太著、文藝春秋刊)から一部抜粋し、2006年に開催した第1回大会でのイチローとの記憶をお届けする。(全4回の1回目/続きを読む)
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全員がイチローに気圧され、ホテルが静まり返った
日本での8年間で108勝を挙げて、松坂はメジャーへ移籍する。その争奪戦が熾烈を極めて破格のカネが飛び交ったのは、2006年の春、初めて開催されたWBCでのピッチングが、メジャーに計り知れない衝撃を与えたからだった。
第1回のWBC――近々、野球のワールドカップが行われるという噂はあった。その噂が現実となったのが2005年初夏。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の開催が発表されたのである。日本では参加すべきかどうかさえあやふやだったのだが、その風向きが変わったのはイチローが日本代表の一員として出場する意思を示したからだった。
イチローさんが出ることになって、驚きはありました。オリンピックに出なかったイチローさんは「世界一を決める大会なら出る」とずっと言っていましたが、そうか、そのときが来たのか、と思いました。
イチローさんが初めてチームに合流したのは、直前合宿が行われる福岡のホテルです。僕らは先にミーティング会場に揃っていて、なんとなくザワザワしていたのですが、そこへイチローさんが到着して、一転、シーンと静まり返りました。みんな、イチローさんの存在に気圧されていたんです。
