3月3日、ニデックの会計不正を調査する第三者委員会が報告書を公表し、驚愕の実態が明るみに出た。減損損失は最大2500億円にのぼる可能性があるという。「文藝春秋」2026年1月号では、ニデックの関係者が語った会計不正の手口を、ジャーナリストの井上久男氏が伝えていた。その一部を紹介します。
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まず、一連の不適切会計問題について振り返っておこう。ニデックは6月18日、イタリアの子会社で関税不払い事案があったことを契機に、類似案件がないか社内調査を行うと発表。これを受けて9月3日、子会社ニデックテクノモータにおいて、中国で仕入れ先からの値引きに当たる「購買一時金」が日本円で約2億円、不適切に処理されていた可能性があったと発表した。
さらに調べたところ、前述したような経営陣の関与が疑われる減損処理問題が発覚した。ニデックでは監査委員会による社内調査では限界があると判断し、独立した第三者委員会による調査に入った。
「企業風土の改革が必要」
11月14日の記者会見で、岸田社長は不適切会計が行われてきた原因や背景などについて、こう説明した。
「企業風土、組織風土の改革が必要。短期的な収益を重視し過ぎるきらいがあった。そこから改めないと会社は良くならないという問題意識を持っている」
また岸田社長は、永守氏が重視してきた三原則の「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」に加えて、「『必ず正しくやる』を付加していく」とも述べた。こうした岸田氏の発言から、創業者の経営方針に何らかの問題があったとの認識を持っていると読み取れるだろう。
ここ数年、ニデックでは今回問題となった不適切会計以外にも、不正と見られても仕方ないような会計処理問題が相次いでいる。その内容を見ていくと、企業風土やそれに起因する誤った組織ガバナンスが要因の一つだと窺われる。
たとえば、23年6月2日、ニデックは22年10月の取締役会で決めた中間配当金が、会社法などにより定められた分配可能額を超えており、同年9月から23年3月までに実施した自己株取得も分配可能額を超えていたと発表した。
かつて三洋電機が、子会社の減損処理を不正に行うことで利益を多く見せかけ、本来であればできない配当を実施したとして金融庁は、08年1月、同社に対して課徴金の行政罰を下した。配当に関する不正、不適切な対応は決して小さな問題ではないのだ。

