「『この人、めちゃくちゃ面白いから絶対に売れる!』と思ってても、売れなくて辞めちゃったりとか。そういうの、現場で何人も見てきたでしょ?」
売れない芸人・売れる芸人を分かつものとは……? お笑いコンビ飛石連休の藤井ペイジ氏の新刊『芸人廃業 ダウンタウンになれなかった者たちの航海と後悔』(鉄人社)より、田上よしえさんのインタビューパートを一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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「私は時代に飲み込まれた女」
――時代?
田上 私のお笑いって、いわゆる「シニカル」な、皮肉を含んだネタが多いんですよ。「毒舌」って言われることもあったし。自分的には、毒の成分は「ほんのちょっと」で、軽~く「ピリッ」とさせてるだけなんですけど、このご時世、ちょっとしたことでも世間からやんややんやと言われるじゃないですか。やんややんやと。
――確かに、いまは言葉の伝わり方ひとつで炎上してしまうから。芸人のネタなんて狙われやすいしね。ネットニュースなんて特に、悪い意図がなくても悪意だけ切り抜くし、それがひとり歩きして広まったりするから。
田上 そういうのが嫌で。炎上とかネットの誹謗中傷に耐えられる精神が、私にはもうないですね。
――なるほど。それが、「時代」。
田上 時代ですよ。時代に飲み込まれた女ですよ。
――「ぺこぱ」が出てきたときには、「人を傷つけない笑い」って言われて賞賛されたから。もちろんそれが良い悪いじゃなくて、お笑いなんて人それぞれの好みがあるからね。
「M-1グランプリ 2019」で、無名から突如決勝に進出したぺこぱは、自由奔放なボケ役・シュウペイのボケのひとつひとつを、ツッコミの松陰寺太勇が全く否定せず好意的に解釈するスタイルの漫才で、一躍ブレイクした。
田上 だから「私のやってるお笑いって、このまま続けてても厳しいんじゃないかな」と思ったのが、芸人を辞めようと思った理由のひとつでもあるかな。
――表現の規制も、どんどん厳しくなっていってるし。
田上 あと、やっぱり「お芝居」が好きなので。私、テレビが大好きなんですけど、あるときふと気づいたんですよ。「あれ? 私、ドラマとニュースしか見てないな」って。
――バラエティ番組は?
田上 全く見ない! チャンネル変えるときに、たまたま目に入るぐらい。藤井くんはバラエティ見るの?
――めっちゃ見るよ。ネタ番組とかトーク系のバラエティ番組とか芸人がメインで出てるのは、特に。
田上 それは好きだからでしょ? 結局好きなものしか見ないじゃないですか。興味があるものしか。私、ドラマばっかり見てるから「ひょっとして私、芝居しか興味ないのかな?」って、ふと気づいて。っていうことは、ほら。
――なに?
田上 私、女優。
――あっはっは! 例えばバラエティとか見てて、 「この番組おもしろいな。出たいな」とかもない?
