その土地の生活を体感したくて外国に長期滞在
――どのくらいの期間イギリスにいたんですか。
井上 イギリスは観光ビザでいける限界の3か月です。もともとUKロックが好きだったんですよ。当時、私は「Blur」が好きで、ある時、向こうの知り合いが「Blurがミュージックビデオを作っているから行こう」と言ってくれて、撮影現場について行ったり。ボーカルのデーモン・アルバーンと一緒に写真も撮りましたよ。でもその写真どこかに行っちゃったなあ。
――もったいない(笑)。井上さんは交友関係が広そうですよね。
井上 向こうに行ってから友達になるパターンも多いですね。アートをやっている人はヨーロッパに行っちゃうじゃないですか? そうしたら、その友達を訪ねて行って、その人の家に居候したりしてました。
海外に行くとホテルに泊まるのじゃなく、そうやって人の家に泊まらせてもらって、現地のスーパーに行って食材も買ってと生活を感じたいんですよ。その土地の人がどういう生活をしているか見たい。だから旅行というより、土着に近いというか。その後も仕事をしては、海外に行って長期滞在するという生活をずっとしていました。
海外で知り合った男性と結婚、出産、長野へ移住
――2004年、30歳のときにカナダへ留学します。
井上 カナダには語学留学と称して行きました。ロンドンでもそうだったんですけれど、学生生活をやりきれていないという思いが私のなかにはあって。リュックを背負って、学校に通うというのを、どうしてもやりたかったんです。
――カナダでは後に結婚される男性(現在は離婚)と出会います。ボランティアをされていた方だとか。
井上 NGOですね。学校を作る仕事とか、そういうことがすごく好きな人でした。周りにはそんなことをする人がいなかったので、「そういう仕事があるんだ」って驚いたことを覚えています。
――翌年その男性と結婚し、第一子が生まれたことをきっかけに、パートナーの希望で長野に移住されます。
井上 彼の中では東京からそこまで遠くない場所を選んだつもりだったみたいです。電車だったら東京にも全然通えると思ったみたいで。当時の事務所からは「何考えているの」とは思われてたみたいですけど、私の中でも子供が生まれたら仕事はできないかなというのもあったんです。
それに私自身が田舎で育っているから「東京で子育てって、子供たちはどこで遊べばいいんだろう」という素朴な疑問もあって。電車に揺られて子供たちが通学する姿は想像できないし「東京での子育ては無理だ。やっぱり田舎がいいな」と思っていました。
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