「日本で作られたものなら良いものだ」
日本の反中本が多く翻訳されることでどんな問題が起こるのか。
「多くの場合、中国語ネイティブの書き手によるものより分析の質が高いとは言えない日本人が書いた『中国脅威論』に関する本が台湾で翻訳され、書店に並びます。そこへ台湾の人々の日本に対するリスペクトが加わり、『日本で作られたものなら良いものだ』『日本人の意見は傾聴に値する』といった意識が働いてしまうのです」
安田氏は日本国内で読まれる場合との違いを説明する。
「私たち日本人がそうした本を読む場合、『本当だろうか』『著者はどんな人物なのだろう』『商業的な意図で付けられたタイトルだろう』などと、ある程度批判的に読みます。しかし、台湾の読者は、外国の著者が書いたものだからという理由で、内容をそのまま信じてしまう傾向がある。日本人が横文字の著者を無条件に信じてしまうのと似た構造です」
日本の言説が台湾の世論を煽ってしまう
台湾人は日本人が書いた本を信頼する。その結果、「誰かが意図したわけでは全くありませんが、結果的に日本のレベルの高くない扇動的な反中言説が台湾に輸入されて受容されることで、現地の世論を本来より過激化させている部分がある」と安田氏は語る。
安田氏の指摘は、日本の言論が意図せず台湾に与えている影響の大きさを浮き彫りにした。

