3月5日に開幕したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、大谷翔平をはじめとする“侍ジャパン”が激闘を繰り広げている。「文藝春秋」最新号では、日本球界の有識者による座談会を開催。WBCで日本が連覇を果たすには、何が必要なのか——。
◆◆◆
鷲田 2023年の優勝から3年、連覇を目指して野球日本代表がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に挑んでいます。前回大会で投手コーチを務めた吉井理人さん、2006年の第1回WBCに出場された里崎智也さん、日米通算906試合登板の五十嵐亮太さんにお集まりいただきました。今回はアメリカが本気を出して強力メンバーを集めており、優勝は簡単ではないでしょう。アメリカ代表といえば、今回は投手陣にサイ・ヤング賞のスキーンズ、打者は主将のジャッジをはじめ、本塁打王のローリーとシュワーバーなどを揃え、史上最強のチームに見えます。
ほかにも、ベネズエラにはメジャーMVP経験のあるアクーニャJr.や、15勝投手のルサルドがいますし、ドミニカ共和国には大谷翔平(ドジャース)以上の契約金で話題になったソトや、ワールドシリーズでドジャースと激戦を繰り広げたゲレーロJr.がいます。どうすれば彼らを打ち破って勝ち上がれるでしょうか?
吉井 選手たちにいつも伝えていることですが、一発勝負のトーナメントで初見の選手が相手では、平常心でいられません。だからこそ、「ベストじゃなくて、グッドが出ればいい」と思うことです。実は現役時代、メジャーに行って大投手のマダックスから言われた言葉なんです。渡米したばかりで、まだ英語がよくわからなかった頃でしたけれど(笑)。日本ハムのコーチ時代、大一番の試合の前に、この話を大谷にしたら、彼も「グッドですね」と共感したようでした。
五十嵐 アスリートは完璧主義者ですから、大舞台では気負いすぎて悪い連鎖反応が起こることもある。大事なのは、チームの中で自分の役割を明確にしてプレーに集中すること。近藤健介(ソフトバンク)や山本由伸(ドジャース)も「グッドでいい」と冷静なアプローチをしているように見えますね。
里崎 プロ野球選手が国際大会に参加するようになった2000年のシドニー五輪以降、日本は主要3大大会のすべてでベスト4に残っています。ベスト4から先の勝負は運も絡んできますから、ここ一番で打てるか、ミスをしないかが重要です。そのためには、アプローチの方法は人それぞれですが、「普通」のことを「普通」にこなすことですよ。優勝できるかどうかは、そこにかかっています。

