木村拓哉からハスキーボイスを褒められて
たしかに、その経歴を振り返れば、出演作を並べるだけでも圧倒される。先に挙げた作品に加え、『LIAR GAME』(フジテレビ系)シリーズや『流星の絆』(TBS系)、『BOSS』(フジテレビ系)シリーズといった平成を象徴するドラマから、近年では『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)、『俺の家の話』(TBS系)まで、令和に入っても話題作が途切れることはない。
同じ1988年生まれだけでも、新垣結衣や吉高由里子、堀北真希といった人気俳優が名を連ね、さらに上の世代には石原さとみ、長澤まさみ、北川景子など、日本を代表する俳優たちがひしめいている。まさに日本芸能界における超ボリュームゾーンのなかで、戸田が埋もれない存在になったのか。その理由のひとつは、特徴的な声にあると思う。
かつて『ビストロSMAP』(フジテレビ系/『SMAP×SMAP』内)にゲスト出演した際、ハスキーな声が悩みだった戸田が、木村拓哉から「ハスキーボイスの女優はあまりいないから自信を持ったほうがいい」と声をかけられたことがあると語っていたのを、なぜか強烈に覚えている。本当にその通りだと思う。キュートな見た目に対して少し低めの声は、ただ明るく可憐なだけではない奥行きを感じさせ、唯一無二のヒロイン像を確立させた。そして年齢を重ねるにつれて、その声色は芯の強さをにじませるものへと変化し、多くの人が憧れるタフな女性像とも自然に結びついていった。
華やかなキャリアのなかで、戸田にとって“第二の幕開け”を感じさせた作品は、やはり2019年度後期の朝ドラ『スカーレット』(NHK総合)である。新人女優の登竜門とされてきた朝ドラヒロインだが、『まんぷく』の安藤サクラ、『なつぞら』の広瀬すずに続き、戸田もオーディションなしで起用された。すでに第一線で活躍していた戸田が30代で朝ドラヒロイン!? と、当時はかなり驚いたものである。『まんぷく』『スカーレット』以降の朝ドラは、すでに実績のある俳優の魅力を再定義する場としての意味も帯びるようになった。