『スカーレット』で演じた衝撃的なヒロイン・喜美子

 筆者は『まんぷく』から朝ドラを見始めたのだが、ヒロインに選ばれた俳優が10代から40代、50代に至るまでの人生を演じきる朝ドラという枠組みにおいて、ひとりの人物が歳月を重ねていく実感を最も強く受けたのが『スカーレット』だったのだ。

 ヒロインの喜美子は、信楽焼の女性陶芸家の草分け的存在であり、骨髄バンク設立運動にも奔走した神山清子の半生をもとに描かれている。男性の仕事とされてきた陶芸にのめり込む喜美子は、いわゆる“従来の朝ドラヒロイン像”とは対照的な存在だった。ギャンブルや博打に手を出して破滅するダメな父親像は、もはや朝ドラにおけるスタンダードであるが、穴窯建設に没頭するあまり家の貯金にまで手をつけようとし、愛想を尽かした夫の八郎(松下洸平)が家を出ていく展開は、いま思い返しても衝撃的だった。

 陶芸家として成功を収めた喜美子に降りかかるのが、愛息子・武志(伊藤健太郎)の大病だ。戸田と伊藤はわずか9歳差だが、歳月を重ねてきた喜美子としての時間が伊藤の名演と響き合い、まるで本物の親子のようだった。

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 ​​慢性骨髄性白血病で早すぎる生涯を閉じた武志を見送った後、激動をくぐり抜けてきた喜美子のラストシーンは驚くほど凪いでいた。​​ご飯を食べ、実直に作品と向き合い、窯に薪をくべる。人生の酸いも甘いもにじませたその佇まいには、多くの視聴者が抱いていたであろう“戸田恵梨香”像とは違う、ひとりの女性の姿があった。

戸田恵梨香公式Instagramより

 細木数子を戸田恵梨香が演じると聞き、大丈夫? と思った人は、ぜひ公開中のティーザー映像を見てほしい。あの映像を目にして以来、私はふとした瞬間に細木数子の面影が浮かぶため、『リブート』がその前にあって良かった~と思った。きっと私たちは、また新しい戸田恵梨香に出会うことになるだろう。

参照

https://news.yahoo.co.jp/articles/cf2bb7479d2c1d8f1588c1aba2b24ee06243403a?page=2

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