「子供の頃から映画は好きでしたし、映画音楽もよく聞きました。だからこういうアルバムが出来たのは私にとってはごく自然なことでした」
東儀秀樹さんは日本古来の雅楽の演奏家として、現代音楽や現代の楽器とたびたびコラボレートしてきた。そして今回、誰もが口ずさめる「映画音楽」を独自の感性で演奏・編曲し、一枚のアルバムに仕上げた。
「心がけたのは、聞く人が違和感を持たないこと。奇抜なアレンジには走らずに、みなさんの知るあの名曲たちを私なりにアレンジしました」
『ゴッドファーザー』『ニュー・シネマ・パラダイス』……タイトルを聞けば耳に甦えるあのメロディが、篳篥(ひちりき)の音に乗って蘇る。東儀さんの編曲家としての腕をあらためて思い知らされる。
「とはいえ、告白してしまうと、昔からロックに親しんだ身としては、『マンマ・ミーア!』オリジナルの“ダンシング・クイーン”は正直言うとあまり好みでなかったところがあって(笑)。それならば音符を少し伸ばして篳篥らしさが生きるよう、あえて雅楽の伸びやかな音に置き換えてみました。原曲との違いも東儀秀樹の個性として楽しんでいただけたら嬉しいですね」
INFORMATION
『ヒチリキ・シネマ』
ユニバーサルミュージックより発売中