現場を後にする際、私たちはドローンを上空に飛ばし、広大なジャングルを撮影した。映像から、覚醒剤を精製する機材やテントを緑にペイントすることで、上空からはその存在を完全に隠していたことがよくわかる。まさにプロフェッショナルな隠蔽工作だった。
この製造現場がジャングルの中に設置された理由は明確だ。密林の中は視界が悪く、外部からのアクセスが困難なため、警察や軍隊の捜査網をかいくぐるのに最適な場所となる。捜査官が私に語ったところによると、カルテルはこの地域に無数の「プラザ」(製造拠点)を設置しており、これらを移動しながら製造活動を行っているという。彼らは常に一歩先を読み、摘発されるリスクを最小限に抑えるよう動いているのだ。
キッチンの労働者と思われる男たち
帰り道、川が増水していたことにより、先行していたFGRの車両が流されてしまったが、隊員たちはすぐに対応し、車両を引き上げた。その姿に、彼らがいかに訓練されたプロであるかを改めて感じた。川を避けて大きく迂回しながら、帰路に着いたが、その途中で私たちはキッチンの労働者と思われる貧相な男たちに出会った。彼らが向かう先には、新たなキッチンがあるに違いない。摘発しても追いつかないこの現実が、メキシコの麻薬ビジネスの根深さを物語っている。
そして、これほど雑な場所で作られたものを、街ごと滅菌されたような大都会に住む人々が使ったりする。生産地との距離感、生産者の顔が見えないというのは、こういうことなのかもしれない。衛生的に雑な現場を見てその思いを強くした。
最後に、基地に戻る際、FGRの隊員から「アメリカに渡るなら靴を捨てていけ。何度洗っても現場の匂いは取れない」と忠告された。それでも「この靴、気に入ってるんだよな~」と、少し躊躇した素振りを見せていると、「犬はごまかせない」と麻薬探知犬のことで追い討ちをかけるように諦めろと言われた。無駄な出費を避けることはできなかったが、念願だったキッチン取材が成功した喜びは何よりも勝っていた。悔しいが彼らのアドバイス通り捨てる決意を固めた。
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