「犯人は、もう死んでいるかもしれない――」
三億円事件の容疑者に浮上したのは、白バイ隊員の息子である19歳の少年S。だが警察が動いたその夜、彼は青酸カリを飲んで命を絶つ。
本当の犯人はどこへ消えたのか。昭和最大の未解決事件は、なぜ解決に至らなかったのか――。宝島社の新刊『日本の未解決事件100 犯罪から読み解く「昭和」「平成」「令和」史』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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容疑者に浮上した「警察官の息子S」
緊急配備指令による検問でセドリックを取り逃がした捜査本部だったが、当初は事件の解決を楽観視していた。現場付近には、白バイ本体や乗り捨てられたカローラなど、たくさんの遺留品が残されていたからだ。
「これだけのブツがあってホシにたどり着けないはずがない」
事件の5日後、早くも容疑者が浮上する。
19歳の少年S。父は現職の白バイ隊員で、地元の不良グループメンバー。鑑別所を逃げ出したS少年は当時指名手配されていた。
同じ年の3月には、このグループが発煙筒を使用した強盗事件を起こしており、手口も酷似していた。
