NHKの連続テレビ小説「ばけばけ」に出演、ヘブン先生役でブレイク中のイギリス人俳優トミー・バストウさん。番組は3月27日に最終回を迎えますが、最終週の撮影真っ最中、トミーさんが大阪でのインタビューに応じてくれました。
後半では、「ばけばけ」のモデル・小泉八雲と自身の共通点、共演者・髙石あかりさんとの撮影秘話についてお話しいただいています。『週刊文春WOMAN 2026春号』より、一部を抜粋の上ご紹介します。
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主流の白人文化からはじかれているという感覚
――トミーさんがハーンの足跡を追うNHKのドキュメンタリー番組を観ましたが、すごく興味深かったです。中でも、ハーンが新聞記者時代に過ごしたアメリカのニューオーリンズでは、クレオール文化(白人と黒人の混淆文化)に関する著書もある。だから、地元の人たちにいまも愛され尊敬され、毎年恒例のマルディグラの祭りではハーンの山車も出る。めちゃめちゃ人気のある人なんだなって。
(英語で)130年前って、クレオールについて本気で書く人って、ほとんどいなかったんです。関心を持つ人自体があまりいなかったから。でも、ハーンは白人だったけど、自分を“白人側”とは感じてなかった。イングランド出身だけど、母はギリシャ人。父の故郷のアイルランドでも少数派。しかも片目が見えない。だからずっと、自分は主流の白人文化からはじかれている側、それに反発している側にいる、そんな感覚を持っていたんじゃないかなって。
僕とハーンの共通点は「ちょっと“冒険者”」
――そういう八雲さんと共通点を感じたりしますか?
山ほどあると思います。ハーンは、最終的に日本を“故郷”にしました。でも、完全にアウトサイダー感は消えなかった。僕も同じで、どこに行ってもちょっとアウトサイダー。差別を感じるとか、そういうことじゃなくて。
(英語で)どこの文化にいても「自分はここ」と思ったことがあんまりないんです。旅が好きだし、いろんなことを体験したいタイプだし。子どもの頃はかなり反抗的で、体制にも宗教にもアンチで、よく問題も起こしてた(笑)。たぶん僕も、ハーンさんと同じでちょっと“冒険者”。いま、僕以外の友達はみんな結婚して、子どもがいて、イギリスで落ち着いてる。だからよく言われるんですよ、「なんでそこにいるの?」「なんでそんなことしてるの?」「いつ戻ってくるの?」「こっちにいればいいのに」。僕は、ハーンのように帰る場所がないわけじゃない。でも、動き回っていたい。「そういう性格」なんでしょうね。
――ちなみに、八雲の「怪談」で好きな話はありますか?
一番は「雪女」。
(英語で)この物語は、怪談だけど、すごく現実的な話だというのがポイント。結婚して、愛している相手でも、ある日ふと、何かのきっかけで知らない顔を見せることがある。「この人、誰?」と思ってしまう瞬間がある。それが僕には本当に恐ろしく感じられるんです。




