かつて「内助の功」と称えられた無償の家事を、労働として描き直したドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』から約10年。ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』のヒットなど、家事を扱うエンタメ作品は確実に増えています。

『ネオリベラル・フェミニズムの誕生』(キャサリン・ロッテンバーグ著)を訳した英文学研究者の河野真太郎さんと、漫画『わたしたちは無痛恋愛がしたい ~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん~』の著者・瀧波ユカリさんは、今の「家事」のあり方をどう考えているのか。『週刊文春WOMAN2026春号』より一部を抜粋・編集し掲載します。

左から河野真太郎さん、瀧波ユカリさん

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朝ドラ『ばけばけ』でも登場した、「家事と賃金」

──放送中のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』では、ヒロインのトキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)の関係が「雇い主と女中」から「夫婦」へと変化する際、「結婚すると賃金がもらえなくなるのでは?」という切実な問いが描かれました。家事を労働として扱う流れがエンタメの世界でも根付きつつあります。

瀧波 これまでならばむしろ「偉大な夫を支える妻」という美談になったようなエピソードが、今回は「結婚の結果、家事労働が無償になってしまう」という恐怖として描かれたのは良かったですよね。

河野 家族への愛などといった言葉でなあなあにされてきたものが、ようやく「労働」として目に見えるようになった。ただ、可視化されたからといって、現実に女性の負担が減ったかというと、必ずしもそうなってはいません。

瀧波 問題提起はできても解決策までは示せないのは、現実でもまだ解決策が見つかっていないからかもしれませんね。