「誰が家事をするのか」3つの解決方法

瀧波 なるほど、そういう見方もあるのですね。「仕事ができる女性であれば、家事もマネジメントしてうまくやれてしまうし、その結果平等になるじゃないか」と。

河野 そうです。先ほど「誰が家事をするのか」という問題が放置されてきたと言いましたが、ネオリベラル・フェミニズムの考え方においては、解決方法が3つあります。

 1つ目は、女性が仕事も家事も完璧にこなす「スーパーウーマン」になること。2つ目は、家事代行などのサービスを「外注」すること。しかし、「外注」したとしても、そうしたサービスの働き手は女性が多いので、女性が家事を担う構造は変わらないことに注意が必要です。そして3つ目が、男女で家事を平等に負担すること。

ADVERTISEMENT

瀧波 3つ目が一番理想なんですけどね。いくら「家事は労働だ」と言ってみたところで、結局「女性がやる」という前提がひっくり返らない限り、何も変わらない。私だったら、家事労働に対する賃金交渉よりも、男性側にも同じくらい家事を担うことを要求したくなります。

河野 残念ながら、日本ではこの3つ目がなかなか選択肢に入ってきません。なぜなら、女性の多くはパートや派遣などといった非正規労働者として働いており、男性の多くは長時間労働が前提の正社員として働くという構造がずっと続いているから。実は、1985年は雇用機会均等法と同時に、労働者派遣法が成立した年でもあったのです。今は男性の非正規労働者も増えていますが、この性別役割分業の骨組みは根強い。

瀧波 女性の側が「私がワークもライフも効率よくこなして、市場価値を出せばいいんだ」と思わされても、それは根本的な解決にはなっていないですよね。結局、構造を温存したまま女性に「有能であれ、全部マネタイズしろ」という新しいプレッシャーだけが増えてしまったのが、この10年だったということなのかもしれませんね。