「これからレミの料理を何回食べられるかな」。夫・和田誠さんの言葉に平野レミさんは食に対する真剣な思いを感じ、手を抜かないと決意したという。それから約半世紀もの間、家族のための料理を作り続けてきた。

 その和田さんが亡くなって6年半。1人暮らしになった今、レミさんは自分だけの料理をどんな気持ちで作っているのだろうか――。『週刊文春WOMAN 2026春号』より、一部を抜粋の上ご紹介します。

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1人で立ち食い生活

平野レミさん。

 1人になってからは、キッチンで立ち食いすることも増えました(笑)。器にきれいに盛り付けてテーブルまで運んで……というのが面倒な時は、「もうここで立ったまま食べちゃおう」って。立ち食いはね、すごくいいのよ。座って食べるよりも胃の中にすーっとストレートに入るし、脚の筋力もつくし、窓からの景色もよく見えて、そのうえ洗い物が減るのが一番いいかな(笑)。

 和田さんがいるときは、もっと真面目だったけどね。カレー一つにしても、どの器に盛るかによって料理の表情が変わるから、「今日はどの器にしようかしら」とじっくり考えたりして出すのが楽しかったわね。そうやってずっと一緒にごはんを食べてきたけど、今はもうそのまま1人で立ち食い(笑)。天国にいるお母さんが、「レミちゃん、椅子にお座りなさい」って言ってる気もするけど、いいの。誰にも迷惑かけてないんだから。

平野レミさん。

 和田さんは家事をよく手伝ってくれていたけど、今は1人だから、自分で全部やるしかないでしょ。お皿洗いもすごく面倒だし。とりあえず使い終わった食器は水に浸しておくけど、洗うのを後回しにしているうちに、夜には流しが食器でいっぱいになっちゃう。

 やるのは私しかいないから、ゴム手袋をしてまとめてエイヤッて一気に洗ってます。洗うまでは気が重いけど、洗うと気持ちもすっきりするのよ。朝起きて台所がきれいだと、やっぱりすがすがしいものよね。たまには疲れてお皿を洗わずに寝ちゃうことがあるけど、自分はダメだと落ち込む必要は全くない。独身だから、いつ洗おうが自分の勝手でしょ。