アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃が開始してから、すでに1カ月が経過した。4月8日、アメリカとイランは2週間の停戦に合意。ロイター通信など各社は、米陸軍の精鋭部隊「第82空挺師団」が中東地域に展開されたことを報じていた。

 トランプ大統領が、この“地上最強”といわれる部隊を送り込んだ狙いはどこにあるのか。報道カメラマンの不肖・宮嶋が解説する。

こちらは現役のフランス陸軍・第11落下傘旅団将兵。ブルパップという独特の形状のFA-MAS小銃に着剣して気合を入れている。 撮影=宮嶋茂樹

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日本は“第三国”でいられるのか?

 毎週、国会前では反戦デモが行われ、その中には「高市辞めろ」という声もある。だが、反戦を掲げるのはいいとして、はたして高市首相が辞めたら、それで中東情勢は収まるのか。

 いくらトランプ米大統領から自衛艦派遣を求められなかったとはいえ、日本はとっくにこの紛争にコミットしとる。

 その一例が、先月まで日本の南西諸島を舞台にくりひろげられた日米共同訓練「アイアン・フィスト26作戦」である。

日米共同訓練「アイアン・フィスト26作戦」

 詳細はまた別の機会に伝えたいが、日本側の陸上自衛隊水陸機動団のカウンターパートとなった31MEU(Marine Expeditionary Unit 米海兵隊第31海兵遠征部隊)は、訓練を終えた翌日から直ちに中東に派遣。さらに、同じく共同訓練に参加していた米海軍強襲揚陸艦「トリポリ」も、第31海兵遠征部隊2500人を乗せてペルシャ湾に向かった。

「トリポリ」の母港は佐世保やぞ。31MEUは沖縄のキャンプ・ハンセンから出陣したんやぞ。つまり日本は、この紛争の米軍側の出陣基地となったのである。

海兵隊1軍だけで17万人…米軍のすさまじい底力

 それにしても、本訓練を通じて実感できたのはアメリカの底力である。今年始めにはベネズエラのマドゥロ前大統領拉致作戦を成功させたばかりか、返す刀で中東での先制攻撃。地球の裏側に等しいイランで実戦を始めておきながら、同時に日本の南西諸島でこんな大規模な訓練を行ってしまう。しかも、それが終了したら即、同じ部隊を実戦に投入してしまうのである。これがロシアや中国・北朝鮮が束になってもアメリカに敵わないところである。

日米共同訓練「アイアン・フィスト26作戦」

 しかも、戦後81年、自衛隊が幸いにも戦火を交えたことがないのに対し、米海兵隊には豊富な実戦経験がある。硫黄島や沖縄等、太平洋の死力を尽くした日本軍との戦いから、朝鮮戦争の仁川上陸作戦にソマリア紛争、アフガニスタン紛争、イラク戦争にも参加している。

 海兵隊1軍だけでかつては戦闘機から戦車まで備え、兵力は実に17万人。ちなみに、陸海空自衛隊の総数は実質22万人である。それに近い兵力を海兵隊1軍だけでまかなってしまうのである。

日米共同訓練「アイアン・フィスト26作戦」

 敵性地域はもちろん、隠れるところがない洋上からでも、主力部隊に先駆けて強襲上陸。鬼才、スタンリー・キューブリック監督の映画『フルメタル・ジャケット』でも、その常軌を逸した訓練と戦いぶりが描かれている。 

 2003年4月9日、イラク戦争終焉間近のバグダッド陥落時、不肖・宮嶋ら報道陣が拠点にしていたパレスチナ・ホテル前広場にAAV7(水陸両用戦闘装甲車)を先頭にして真っ先に駆けつけてきたのも、この海兵隊であった。まるで『ジュラシック・パークⅢ』のラストシーンのような光景を、昨日のように思い出す。