海兵隊だけじゃない…トランプが中東に送り込んだ“最強の刺客”

 米軍が強いのはそれだけやない。トランプ大統領が先日、海兵隊に続いて中東に派遣したのが第82空挺師団(82 Airborne Division)である。要人暗殺や人質奪還作戦などを担う比較的小規模な「特殊部隊」とは違い、国にはよるが数万人程度を擁する即応戦闘部隊。大隊規模で、大きな作戦にがっつり参加するのである。

現役のフランス陸軍空挺部隊。

 もうこれだけでアメリカの、いや、トランプ大統領の覚悟が計られよう。その機動力たるや「そこが地球上である限り18時間以内で展開できる」というものである。

 海兵隊が主に海軍の艦艇から展開・上陸していくのに対し、空挺部隊は航空機からの落下傘降下やヘリボーンにより、敵地ですら上空から飛び込んでいく。特に第82空挺師団といえば、第101空挺師団と並んで米軍を代表する精鋭部隊である。海兵隊に勝るとも劣らぬ実戦経験もあり、参加した大作戦のほとんどを成功させている。

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 もちろん、敵地にまで上空から飛び込んでいく空挺部隊は、どこの国の軍隊でも精鋭。日本の唯一の空挺団である陸上自衛隊第1空挺団のモットーも「精鋭無比」である。

 だが、日本の自衛隊では師団より小ぶりの第1空挺団が1旅団規模で配備されているのに対して、アメリカでは陸軍だけで第11空挺師団・第82空挺師団・第101空挺師団の3師団プラス第173空挺旅団が配備されている。しかも、そのどれもが「18時間で世界のどこの地にでも空挺降下できる」という、即応戦闘部隊を備えているのである。

英蘭ベルギー軍等、ヨーロッパ中の空挺部隊がノルマンディーに集結した。

 兵力、装備が充実しとるだけではなく、その実戦経験まで豊富。パナマ侵攻、アフガニスタン紛争、イラク戦争では敵奥地にまで空挺降下するなど、ほとんどの任務を成功させている。

戦争映画でもたびたび登場

 そんな精鋭部隊は、スクリーンにも度々登場してきた。ジョン・ウェインからショーン・コネリーまでハリウッド映画俳優が総出演した『史上最大の作戦』は有名である。

 劇中、ある兵士が空挺降下する途中、ノルマンディー地方のサン・メール・エグリーズの教会の尖塔に落下傘がひっかかり、吊り下がってしまう。なすすべもなく足下の戦場を見つめていると、ドイツ兵に見つかり、射撃され負傷。そんな戦争の非情さを訴える象徴的なシーンとして登場する人物こそ、第82空挺師団所属のジョン・スティール2等兵である。

右にあるのがサン・メール・エグリーズの教会。尖塔からスティール2等兵を模した人形と落下傘が吊り下がっている。

 現在もサン・メール・エグリーズの教会の尖塔には、このスティール2等兵を模した人形と落下傘が吊り下がっている。80年以上の年月を経ても、観光客に当時の戦闘の激しさを想起させている。

 不肖・宮嶋も、さすがに実戦で活動中の第82空挺師団を見たことはない。だが、デモ・ジャンプ(降下)や降下後の非番の部隊を見かけたことはある。