有効な「選択的核拡散」
米国にとって、「選択的な核拡散」は、これらのパートナー国が地域防衛においてより大きな役割を担うことを可能にし、米国への軍事的依存を減らすことにつながる。同盟国にとっても、核保有は、米国がかつてほど伝統的な同盟関係に関与しなくなるなかで、中国やロシアといった地域の敵対国に対して最も信頼できる防衛手段を手にすることになる。
懐疑論者や悲観論者は、「核保有国が増える世界」に青ざめるかもしれないが、選択的な核拡散なら、そうした懸念は不要だ。カナダ、ドイツ、日本には、「理性的な政策決定」と「国内の安定」という確かな実績があり、核の事故や制御不能なエスカレーションの連鎖が起こる可能性は低い。慎重に管理されれば、これらの国への核拡散が、より多くの国による核開発の連鎖につながることはないと信じるに足る十分な理由がある。
選択的核拡散は、世界の不安定化という恐ろしい新時代を招くどころか、第二次世界大戦後の世界秩序を維持する助けとなるだろう。カナダ、ドイツ、日本が核を保有すれば、ルールに基づくシステムと、その主要な規範(とくに領土保全)の維持に尽力する国家連合に向けて、世界の軍事力のバランスを修正することになる。それゆえに、選択的核拡散は、米国と同盟国に多大な利益をもたらしてきた1945年以後の秩序(現在は脆くなる一方だが)を活性化させるだろう。
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※本記事の全文(約7500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年4月号に掲載されています(モーリッツ・グレーフラス×マーク・レイモンド「日独カナダは核武装すべきだ」)。全文では、ドイツやカナダ、そして日本が核保有をする利点について詳しく語られています。
