死刑制度について思うことは……
睦子さん自身、松井が存命の頃は収容先の名古屋拘置所まで首都圏の自宅から新幹線で面会に通ったり、松井の代わりに被害者の墓にお参りに行ったりしていたという。
そして松井の死後、遺骨は名古屋の教会で納骨堂に埋葬してもらいつつ、一部は分骨してもらって家に置いているそうだ。ここまでの献身的な支えがあったからこそ、松井は被害者の人たちに思いをはせることができたのではないかと思う。
実は松井の死後、睦子さんは再び山田と文通するようになっている。睦子さんとしては山田がいつか死刑執行されるにしても、自分が奪った生命に向き合ってから執行されて欲しいと思っているためだ。山田の収容先の大阪拘置所も、そんな睦子さんを「再婚の可能性がある人物」と認め、山田との手紙のやりとりを許してくれたという。
「私が手紙に人が死ぬとはどういうことか真剣に考えて欲しいと書いても、浩二は返事の手紙でスルーしてきます。だから、浩二も人の温かさや優しさがわかるように、今は優しい言葉をかけるようにしています。浩二も最近、変わってきていると感じます」
最後に、死刑制度について、どう思っているのかを聞いた。
「死刑に賛成か、反対かといえば、反対ですが、被害者やご遺族の気持ちもあるので、単に反対はしません。死刑囚全員をひとくくりにするのではなく、裁判が終わって10年くらい経ってから、その死刑囚の更生の仕方などによって死刑を執行するかどうかを改めて判断するようにしてもいいのではないかと思います」
