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「お宅の息子さんを預かっています」
嫌な予感を覚えた母親が鳴り響いた電話を取るのは午前11時ごろ。受話器から男の声が聞こえてきた。
「メモを用意してください。お宅の息子さんを預かっています。200万円(現在の貨幣価値で約3千200万円)を女中に持たせ、国電信濃町駅に午後3時に来させて、駅に着いたら徒歩で神宮外苑を一周し、もう一度駅に戻ってタクシーで池袋駅に行ってください。池袋からはバスで大泉に行き、都民農園の一つ先で降りて右に曲がってください。約束さえ守れば1時間以内にお子さんを返します。警察に言ったら子の命はありません。200万円は新札ではダメです」
母親は仰天し、すぐに学校に連絡。学校側が渋谷署に通報するとともに、午後には両親が玉川署に連絡し、警視庁は身代金誘拐事件とみて捜査を開始する。
14時40分ごろ、犯人から2回目の電話が着信した。受話器を取ったのはまたも母親で、その周りに刑事が取り囲み録音テープを回した。ちなみに、当時はまだ犯罪捜査に逆探知は導入されていない。
「お金は持たせましたか?」
「言われたとおりにしました」
「子供は大丈夫です。女がいますから大丈夫です。お子さんは眠っています。睡眠薬を飲ませたので」