犯人の正体は⋯

 16日朝、「等々力二丁目」の一つ先のバス停「玉川保健所前」から乗った会社員は子供が雅樹ちゃんと同じ幼稚舎2年生で、その日、車内で「うちの子は今日は風邪で休むから」と雅樹ちゃんに言ったそうだ。バスが目黒駅に着き、一緒に降りて雅樹ちゃんを見ると駅の改札口前でスーツを着た男と話し込んでいる。

写真はイメージ ©getty

 おかしいと一瞬思ったが「知り合いなのかな」と思ってそのまま立ち去ったという。この男が犯人である可能性は極めて高かった。

 重要な情報が寄せられるのは18日朝。事件発生当日の16日15時ごろ、杉並区上荻窪1丁目に住む主婦が近所を歩いていたところ、ドアの鍵にキーが差し込まれたままになっている一軒家を見つけた。主婦はいったん自宅に戻ったものの、夕方に改めて確認したところ、やはり鍵は差さったままだ。

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 さすがに不用心だろうと、その家の隣に住む大家の女性に連絡。大家と主婦が、賃借人である若い女性と、彼女と同居する歯科医の本山茂久(当時32歳)宅に入ると、一見中は不在だったものの、襖を開けたところ4畳半の部屋に布団が敷いてあり、6、7歳の男の子が水枕で寝ていた。

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 男はなぜそこまでして「金」が欲しかったのか? すべては「ある女」のためだった。

次の記事に続く 《懲役は⋯》「慶應幼稚舎に通う子供はお金持ちに違いない」32歳エリート歯科医が7歳少年を殺害――“金への執着”が招いた最悪の結末(昭和35年の事件)