基地、工場、廃棄物処分場。日本各地でPFAS(ピーファス)汚染が確認されている。発がんリスクも持つこの化学物質は、どこにあるのか。全国に広がる汚染の実態について、新刊『灰色の鎖 PFAS汚染列島』(文藝春秋)を上梓したジャーナリスト・諸永裕司氏が語った。(全2回の2回目/はじめから読む

【日本の“水の安全神話”は崩壊している?】“令和の公害”水汚染が危険な理由|テフロン加工にも使われる“PFAS”|発がん性の懸念も|海外よりもゆるい水質基準|高濃度を検出した地域とは?【諸永裕司】

(初出:「文藝春秋PLUS」2026年3月24日配信)

水の「PFAS汚染」による健康リスク

 文藝春秋PLUSの番組「+RONTEN」で、諸永氏はPFAS汚染が確認された具体的な地域について語った。

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諸永裕司氏

 PFASとは有機フッ素化合物と呼ばれる人工的な化学物質の総称である。それが長年にわたって、基地や工場などから環境中に放出され、土壌に浸透し、いま地下水や河川に高濃度のまま残っている。PFASの中でも代表的なPFOA(ピーフォア)は、腎臓がんや甲状腺疾患などとの因果関係が認められている。体内に取り込まれると分解されずに蓄積し続けるため、微量であっても長期的な健康リスクをもたらす。

汚染エリアとして名前が挙がったのは…

 PFAS汚染のエリアとして、最初に名前が挙がったのは東京・多摩地区。同地区では長く地下水が水道水源として利用されてきた。諸永氏によれば、東京湾の底の土壌を掘るとPFASが地層のように検出され、1960年代後半から使われていた可能性が推測できるという。

 東京都がこの問題に気づいたのは2000年代初頭。「つまり使われてから30年以上経ってから」だと諸永氏は説明する。2004年から地下水や河川で計測を始めたものの、国が規制の網をかけていなかったことを理由に、「東京都はそのまま汚れた水を提供し続けてきた」。取水の一部が止まったのは、諸永氏の取材を経た2019年のことだった。

 

 愛知県、岐阜県、沖縄県でもきわめて高い濃度が検出されたことがあるという。いずれも現在は基準値(PFOSとPFOAの合計で50ナノグラム)を下回っているが、その基準自体の妥当性に疑問が残っているのは前回、触れた通りだ。