努力しだいでは叶わぬ夢とは言えない。

 が、黒岩は己の願望を満たすため、当時頻発していた身代金目的の誘拐を夢想し、実際に標的として考えた女優や女性歌手の名前を100人以上、ノートに記した。

7歳の小学生を狙った理由

 妄想はそのうち現実へと変わり、1967年7月に石油会社を辞めて再び上京。まずは部屋を借り、家具などを揃えた豊かな生活をしたいと、質屋の子供を誘拐して身代金100万円程度を脅し取ることを思いつき、赤羽周辺を徘徊して質屋を物色する。

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 そして、北区志茂二丁目の質店「春」で腕時計・カメラを購入した際、土間に脱いであった履物の様子から「この店には中学生くらいの息子がいる」と知り、その息子を誘拐して身代金を得ることを決意。

 後に正寿ちゃんを殺害する際に使用したくり小刀1本、60錠入りの鎮静剤2瓶を入手した。そして、質店の息子を誘い出すため興信所の協力を得ようとするが、依頼の際に怪しまれ計画を断念する。

 この後、パチンコ屋の住み込み店員を経てガソリンスタンドで働いていた1969年3月、石油会社の社長から金を脅し取ろうと、給油計量器の給油ホースなどを切断するなどの嫌がらせを働き脅迫状を送るも失敗。

 同年8月末には金のある質屋の子供を誘拐しようと恵比寿付近で標的を物色し、正寿ちゃんの父親が経営する質屋に狙いを定める。