――せっかくNSCを卒業したのに、苦しい時期が続いた。

濱田 やっと自分らしく喋れてるなって手ごたえが出てきて、R-1の準々決勝に進めたり、NHK新人お笑い大賞の決勝に残れたりしたのが2017年。そこからよくウケる話のストックができてきて、それを全部まとめたのが2018年。街中で声をかけられた話とか、盲学校の出来事とか、テーマでくくって聞きやすい形ができてきた。

――2018年のR-1決勝は、ゆりやんレトリィバァさんとのNSC同期対決でもありました。

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濱田 ゆりやんはその当時もうNHKの賞レースとか「THE W」も優勝して売れてたんですけど、そこまで意識はしてなかったですね。他にも霜降り明星さんが2人とも残ってたし、おいでやす小田さんとか、マツモトクラブさんとか他にも強敵がたくさんいたんで。

――いま見てもかなりメンバーが揃った年でしたよね。

濱田 ただ勝てるかどうかよりも、心配してたのは笑いの技術とはまったく別の“壁”のことでした。

――どういうことでしょう?

「障害がある芸人は使いにくいという方針だったら、俺がどんだけ頑張っても…」

濱田 当時、テレビに出てる芸人で障害を持っている人はほとんどいませんでした。でも、障害があってお笑いをやってる人がいないからなのか、テレビの作り手が意識して使ってないのかがわからなくて。もし作り手が「障害がある芸人は使いにくい」という方針だったら、俺がどんだけ頑張っても取り上げられることはないじゃないですか。

――芸とは別のところに壁があった。

濱田 M-1でもそうですけど、若手芸人は準決勝に残るのが「結果が出た」扱いになるハードルの1つで、自分は最初にR-1で準決勝に残った経験がある。ってことは自分が面白くないわけではないはず。そうなると、仕事が少ないのはやっぱり「テレビの人たちが障害者は使わない方針なのか?」「だとしたらR-1でウケてもダメなのか?」という不安が強くなってくるんです。

――目の障害が理由で仕事を失ったこともあったのですか?

プレゼントでもらったシナモロールをつけて

濱田 今でも覚えてるのは、劇場に出るためのオーディションで、審査員の構成作家に「濱田は通さない」「推薦しない」とはっきり言われたんです。理由は「見えてなかったら大喜利やジェスチャーゲームができないだろう」と。俺のネタがおもんないから落とすっていうんじゃないんですよ。盲目だから最初から通す気がない。

――面白くない、ならまだ納得もできるけれど。

濱田 そうなんです。今は俺も劇場メンバーになれて大喜利もジェスチャーも出演してるわけで、工夫ひとつで全然できるんです。それを「できない」と決めつけてる時点で大したことない人だと正直思うし、それを理由にオーディションを通さないっていうのは完全に差別だと思います。