「大」はどのようにしている?

 大便の際はまず、小さな穴が複数空いた使い捨てのパックを便器の排便口にセットします。次に、便器とおしりをぴったりと密着させたら、吸引装置を稼働させます。この状態で排便をすると、便は空気とともに吸引されて使い捨てパックへ。その後、使用済みのペーパーや生理用品もパックに入れて密封したら完了です。ただ、女性の場合、生理を止めるピルを飲んでいる人が多いようです。

 宇宙式トイレのコツは、小のときは吸引カップに、大のときは便器に、少しのすきまもないように皮膚をしっかり密着させ、カップや便器の中心を狙うことです。ただ、これが案外難しい。とくに便器の排便口は直径10cmほどしかないため、そこからはみ出さないよう狙いを定めて投下しなければなりません。ぶっつけ本番では、成功率は限りなく低いといえるでしょう。

散髪している野口さん

 そのため宇宙飛行士は、地上でトイレトレーニングを受けます。トレーニング用のトイレの排便口は、宇宙トイレと同じように直径10cmほどに設計されています。そして、その排便口にはカメラが、便器の近くにはモニターが設置されていて、肛門が排便口の中心にきているかどうかを確認できるのです。

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 冗談のような話ですが、これ、本当の話です。自分の肛門を見るのは、なかなかないレアな体験ですが、モニターを見ながら肛門の位置を微調整していくのがコツです。トイレトレーニングは、プロの宇宙飛行士になるための重要な訓練の1つ。避けてはとおれません。

 トイレトレーニングでは、宇宙トイレのそうじの仕方やしくみも学びます。地上でしっかりトイレトレーニングをしていても、大なり小なり失敗する可能性はあるからです。そうじをしてくれる人がいない宇宙では、汚したまま放置はぜったい厳禁。ほかのクルーから大ブーイングをくらいます。自分が汚したものは自分でそうじする。「宇宙ライフハック十か条」でもお伝えしましたが、自分たちで生活環境を整えるのが快適に暮らすための鉄則です。

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