――確かに。言葉遣いも現代的で、一般的な「時代劇」のイメージに収まらない大胆な脚色がなされています。
山田 おっしゃるとおりで、全員が原作をリスペクトしていたので、時代劇よりは「漫画の実写化」という色が濃い作品だと思います。再現すべき絵や言葉は原作に詰まっている。ただ、演じる僕らはリアルタイムを生きていますから、芝居をしていくうちに“生の感情”がどんどん湧き上がってくるんです。
(綾野剛演じる芹沢)鴨に対峙した時や、ケンティー(中島健人)が演じる(岡田)以蔵に会った時、脚本に書かれている以上の気持ちが溢れ出してきてしまって。ここには書かれていないけれど、思うことがあまりにもありすぎる。それを僕たちはどこまで表現すべきなんだろうと。
史実に重きを置いた時代劇では叶わない芝居ができるのが『ちるらん』
――そんな時は渡辺一貴監督と相談を?
山田 監督はもちろん、助監督さんも、カメラマンさんも、照明部さんも、みんなで現場を止めて話し合いました。僕は「新撰組会議」と呼んでいたんですけど、本当に1時間くらいずっと意見を出し合うこともありました。それを良しとしてくださる渡辺監督がいて、「こうした方がいいのでは」と怖気づかずにアイディアを出してくださる皆さんがいて……。『東京リベンジャーズ』でご一緒したスタッフさんも多かったので、僕がしっかり意見交換したいタイプなのをわかってくださっていたのだと思います。でも僕だけでなく、本当にみんなが「溢れてくる気持ち」を抱えていて、その表現を真剣に突き詰めていました。
――現場で生まれたアイディアのひとつが、松本潤さん演じる会津藩主・松平容保に土方が剣を向けるシーンだそうですね。あの時代だったら即首が飛ぶ「ありえない」所業で、史実に重きを置いた時代劇であれば、まず叶わないお芝居だろうなと。
山田 それができるのが『ちるらん』なので。さらに殿が……あ、普段も殿って呼んじゃっているんですけど(笑)、松本潤さんとの関係性があったからできたお芝居でもあります。
――大河ドラマ『どうする家康』でも主従関係の役柄でしたものね。
山田 はい。そこで築いた信頼があったからこそ、血気盛んで向こう見ずな歳三を象徴する大胆なシーンに挑戦できました。『ちるらん』は何でもありですが、それはキャラクターの本質を伝えることにとてもこだわった結果なんです。
『ちるらん』に限らず、歴史ものはファンタジーに振りやすい分野ではないのかなとも感じています。現代を生きる人は誰もその時代の「本当」を目撃していませんから。もちろん、歴史の学者さんたちが明らかにされた真実も多くありますが、僕らの想像も同じくらい、いえ、それ以上にたくさんあるはずなので。