世界の目が中東の戦争に釘付けになる裏で、実はロシアとウクライナが「今すぐ戦争をやめたい」と水面下で停戦に動いているという。さらにそのドサクサに紛れ、世界のマネーが集まる「第2のドバイ」が誕生しようとしている。(全2回の1回目/続きを読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2026年4月17日配信)
連日のように報道される中東情勢。イランへの攻撃、ホルムズ海峡の封鎖懸念、原油価格の急騰――私たちの目は湾岸地域に釘付けになっている。しかし、欧州・中東を拠点に機関投資家の資金を運用するヘッジファンドマネージャーの塚口直史氏(著書:『コロナショック後を生き残る日本と世界のシナリオ』すばる舎)の視線は、別の場所に向けられていた。
「今あまり話題になっていないんですが、皆さんの注目が中東に注ぎ込まれている最中、実はウクライナ戦争について停戦の動きが出てきているんです」
ロシアにとってもウクライナにとっても“もう割に合わない”
すでに4年以上が経過し、終わる気配を見せない消耗戦。だが、塚口氏は「両者ともどこかで戦争はやめたいと思っている」と断言する。その根拠は、皮肉にも中東有事という“外圧”にあった。
原油価格が急騰した今、ロシアにとってエネルギー輸出は巨大な商機のはずだ。しかし、戦争を続けている限り経済制裁で身動きが取れない。「制裁を解除してもらって、早く販売したいという話がある」と塚口氏は言う。さらに、世界的な不景気に陥れば中国がロシアの原油を買う余力を失い、ウクライナ側もヨーロッパの経済が疲弊すれば兵器などの後方支援が細ることを恐れている。
塚口氏によれば、ウクライナの交渉担当トップからも「停戦に近づいている」という発言が出ているという。双方にとって、高くつく現代戦をこれ以上長引かせるメリットが失われている現実があるのだ。
