冷凍食品に対する誤解は多い。「添加物が多い」「栄養が低い」など思い込みによる誤解も多いが、「冷凍食品は中国産の原料が多いから不安」というあいまいなイメージも大きい。確かに以前は、中国産の食材に基準値を超える残留農薬が検出される事例もあった。しかし、中国が国をあげて食の安全に取り組み、現在高い安全性を維持していることは、あまり知られていない。中国産は果たして本当に「危険」なのか?(全3回の2回目/#1より続く)
「中国産冷凍食品」の気になる安全性
──「食べてはいけない食品」という週刊誌報道が話題になり、冷凍食品の安全性を懸念する人も多くいます。冷凍食品は中国産の材料を多く使っているイメージがありますが、最近の中国産食材の安全性に問題はないんですか。
山本 そういう質問はよく受けます。事実、消費者のなかには、記事を読んで、リストに載っていた冷凍食品を全部捨てた方もいたと聞いています。文春さんも「危ない中国食品2018」の特集を組んでいましたよね。ですが「危険だ」という情報が出回る一方で、中国も含めて、冷凍食品が厳しい衛生管理をされている工場で作られていることは知られていません。もっと冷静に客観的に事実をみていくべきだと私は考えています。
世界の「違反状況」でトップの国は・・・・・・
──冷静で客観的にみる事実とは、具体的にはどんなことですか?
山本 メディアの報道は、食品添加物などを悪者とする説を一方的に記事にしていますが、そもそも、どんな食品にもリスクがあることにはふれません。例えば人体に欠かせない塩も摂りすぎは疾病を招きますし、「天然ものは良い」と思われる方が多いですが、天然ものから作られた「いわゆる健康食品」を食べて健康を害する事件が時々起こっています。それに、「中国産は危ない」といいますけど、他の輸入国の違反率と比べたことがありますか?
これは厚労省が公表している資料です。中国は圧倒的に輸入件数が多いので、その分違反件数も多く、問題が多いように思われがちですが、パーセンテージで比較すると、フランスに次いで違反率が低いことは知られていません。
──中国の違反率がアメリカやオーストラリアよりも低いのは意外でした。
山本 「違反数」だけ見ると一見中国は多いように感じますが、それは中国からの輸入量がダントツで多いからそう見えるだけです。違反率でいえば中国は8ヶ国の中で2番目に低い、これが事実です。
この調査は毎年行っていますが、中国は違反件数が平成26年度から平成28年度にかけて10%も減少していて、継続的に違反対策に取り組んでいることがよくわかります。