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「私はこの国に住んでいてはいけない人間なのか」
しかし、メガホンの音は大きくイヤホンの隙間から入ってくる。「日本を」「日本人こそ」……。候補者らが「日本」と繰り返すため、入ってくるたびに、いやな感じが襲う。呼吸が苦しくなってきた。走って駅に駆け込み、電車に飛び乗った。それでも胸のドキドキはいつまでも止まらなかった。
(やっぱり私はこの国に住んでいてはいけない人間なのか)
日本で生まれ育って17年だ。
それでもこの国のどこにも居場所はないのだ、と思うと、みじめな気持ちが押し寄せてきた。涙が頬を伝った。
2023年の入管難民法改正の前後から強まったクルド人を標的にしたヘイトスピーチや、政治家による排外的な言説は、2025年7月の参院選に際して、暴風雨のように激化した。
口火を切ったのは自民党だ。すでに何度か触れているが、自民党の後押しで法務省は5月に「不法滞在者ゼロプラン」を公表した。自民党自身も「違法外国人ゼロ」を選挙公約に入れた。
「不法滞在者」とは、在留資格を持たない外国人を指す。だがこの中には、母国での政治的な迫害から逃げてきたが、入管庁が難民認定しないために難民として保護されず、在留資格を取り消された人たちも多い。親に在留資格がないために、日本に生まれ育ちながら在留資格がない若者もいる。
これらの人たちを「不法滞在者」という犯罪者を想起させる言葉で一括りにする政策には、日本弁護士連合会などから撤回を求める声明が相次いだ。
しかし、自民党のベテラン議員は言った。