「安心してください。絶対に警察に捕まりませんから」
徹底した“社員教育”で知られるナチュラルの営業担当者は、表向きは一般企業の営業マンと比べても遜色のない丁寧な言葉遣いを崩さない。しかしその実、法令を遵守しようとする店側に堂々と法令違反を勧めているのだ。X氏が「違反して警察に捕まるのは本意じゃない」と渋ると、担当者はさらにこうまくし立てた。
「安心してください。うちのアプリで取引している限り、絶対に警察に捕まりませんから」
ナチュラルが絶対の自信をのぞかせる「アプリ」とは、一体何なのか。
“警察対策”の独自開発アプリで抜かりのない監視
「5年ほど前、店の事務所を訪れた担当者が、“警察対策”と称して『チャットアルファ』という独自開発したアプリを店用iPhoneにインストールしたのです。以後はこのアプリを使ってナチュラル側とやり取りしてきました」(X氏)
チャットアルファを開くと、まず株式情報が表示され、その右下にある「+」マークをタップすると、番号入力の画面が出現。暗証番号を入力すると、アプリにログインできたという。
このアプリの性能について、捜査員は舌を巻く。
「ナチュラルはあえてアプリの対応端末をApple製のiPhoneに特化している。他のスマホに比べ、iPhoneは捜査機関によるデータ抽出やロック解除が格段に困難。アプリそのものは既製品を改良し、主に関係者内のコミュニケーションツールに仕立てたものだが、特筆すべきは、アプリが入った端末を遠隔で管理者が一元管理できる機能。
Apple製品でこの設定をクリアするには大がかりな手順が必要だ。つまりこのアプリは、単なる半グレ組織に終わらない老獪さの象徴。起動中は管理者が端末の位置情報も把握でき、監視機能には抜かりがない」
案の定、スカウトバックの支払い拒否を続けた直後、アプリには一切ログインできなくなったという。