安藤は答える。
「追われるっていうのは、何かから逃げていることをいうんだ。おれのは、逃げてるんじゃねえ。何かに向かって逃げてるんだ」
逃走時の安藤の心境が、垣間見えるセリフである。
護送されるパトカーのなかで射精するラストシーン
次に安藤が向かった先は、カタギの友人の田所有二の家。
そこで、黄色いワンピースの女性、田代文子とともにしばらく暮らすのである。実在の田代文子は、日劇ダンシングチーム10期生の田村秀子であろう。
女性ダンサーの身体は、締まるところは締まり、出るところは出るという最高のプロポーションである。その魅力を惜しみなく安藤にさらけ出して、安藤をベッドへと誘う。
田中登監督演出の、椅子で上手に接合部を隠しているのが、なんとも心憎い。逃亡先の最後は、葉山の貸し別荘である。安藤は、葉山の有閑マダムを連れ込み、プールサイドでSEXし始める。そこに警官が襲撃。SEXは中断される。
安藤は、素直に逮捕され、護送されるパトカーのなかでオナニーをする。警官たちの制止を振り切り、射精してしまう。白濁液が、フロントガラスに飛び散るシーンで映画が終わる。
タイトルのとおり、映画では多くのベッドシーンがある。が、演じる安藤には、照れや恥ずかしさはなく、むしろ楽しかったという。当時、その種の映画では男女とも前貼りをするものだったが、安藤は面倒臭がってつけなかった。
安藤昇が俳優として第一線から身を引いたのは、やはり昭和51年がひとつの分岐点である。振り返ってみると、安藤出演作品は、扱う題材がヤクザであることが多かった。が、実際の俳優やスタッフはカタギである。映画撮影で本物のヤクザとの揉めごとはなかったという。
昭和40年代半ばから50年代にかけて東映京都撮影所製作でロケーションともなれば、3代目山口組時代の若頭の山本健一が面倒を見てくれたという。安藤も、山本若頭とはしばしば一緒に飲む仲ではあった。
