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「飛ばされるのも悪くないよ」
「まだそうだろうね。たしかに飛ばされるのは辛いですよ。特に若い時に飛ばされると、もう自分の人生終わりじゃないかって思っちゃう。僕だってそうだったよ」
出井は、笑みをたたえながら、昔を少し振り返るように視線を泳がせては、「でも、飛ばされるのも悪くないよ……」と言葉を継いだ。
57歳にして社長となった出井には、そのスマートな外見も相俟って、ずっと日の当たる道を歩き続けてきたような印象がついてまわった。けれども、非常に意外だが、出井のサラリーマン人生はとてつもない左遷、つまり“飛ばされ”続けた人生でもあった。だからこそ、サラリーマンに親会社も子会社も関係ないと言えるのではあるが……。