これは、必ずしもネガティブな変化ではありません。むしろ、生活の中心が家庭の外から家庭の内へと移動することを指しています。結婚したのですから、家族の幸福が最優先という人も増えていくと予想されます。これは、結婚することで自分自身の役割が捉え直された結果、とも言えるでしょう。

どんな人の配偶者になるかのほうが重要

結婚というイベントそのものよりも重要なのは、「配偶者としての役割」をどのように受け入れるかです。パートナーに合わせること、相手との衝突があってもうまく乗り越えること、幸福で充実した共同生活を築いていくことなどは、ビッグ・ファイブの中でも協調性を高めていく可能性を秘めています。

ただしここに関しても、これまでに何度も見てきたように、その変化は一瞬で起こるものではなく、時間をかけた環境への適応のなかで、徐々に生じてきた結果なのです。

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さらに、どのような人物と結婚するかも大きな意味を持つと言えそうです。

情緒的に安定したパートナーと生活することで、不安傾向の強い人の神経症傾向が和らぐ「癒しの効果」のような現象が見られることもあるようです。その一方で、性格や価値観が似た者同士がお互いに惹かれ合うことによって、お互いがもともともっていた性格特性がさらに強化されることもありえます。

「結婚すれば人は変わる」と考えるのは、あまりに単純化しすぎのようです。「結婚するかしないか」ではなく、どのような相手とどのような生活を送っていくのかということのほうが、性格の変化という点からすると重要です。これは、考えてみれば当たり前のことのように思うのですが、見逃しがちなことでもあります。

親になることがもたらす意外な変化

結婚と同じように、「親になる」という出来事もまた、人を大きく変えると信じられがちなライフイベントです。

子育てを経験した大人たちは、「自分を変えるような経験だった」とか「子育ての中で自分も変わった」と感じることもあるようです。しかし、研究の中でもそういった変化は報告されているのでしょうか。