逆に、安定した感情を示す穏やかな気質の子どもを授かった場合には、その子の親は自己効力感や満足感を高めていく可能性があります。実際に、子どもの気質が親の行動や心理特性に影響することは、研究の中でも示唆されています。

「親になれば変わる」というのは、確かに「何かしらは変わる」部分があるのは確かでしょう。しかし、その変化は一様ではなく、親になって何を経験したのかで大きく変わっていくということです。

どのような子どもと、どのような日常的相互作用を積み重ねるかが、親の性格を少しずつ変えていくのです。

小塩 真司(おしお・あつし)
早稲田大学文学学術院教授
1972年愛知県生まれ。名古屋大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科教育心理学専攻修了。博士(教育心理学)。中部大学准教授などを経て現職。専門はパーソナリティ心理学、発達心理学。著書に『自己愛の青年心理学』(ナカニシヤ出版)、『はじめて学ぶパーソナリティ心理学』(ミネルヴァ書房)、『性格を科学する心理学のはなし』(新曜社)、『性格がいい人、悪い人の科学』(日経プレミアシリーズ)、『性格とは何か より良く生きるための心理学』(中公新書)、『非認知能力 概念・測定と教育の可能性』(北大路書房・共著)、『「性格が悪い」とはどういうことか――ダークサイドの心理学』(ちくま新書)などがある。
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