現在放送中のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。ゆかりの城として今回訪れたのは、滋賀県長浜市の「小谷城」だ。浅井長政の“最期の地”となった城は、今どうなっているのか?

浅井長政が自刃を遂げた“難攻不落の城”「小谷城」の遺構をたどる 写真=今泉慎一

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あまりに広大な“広義”の小谷城

 信長に反旗を翻した「金ヶ崎の退き口」から3年。ついに浅井長政が散る。5月3日放送の大河ドラマ『豊臣兄弟!』第17回では小谷城が落城し長政は自刃してしまう。先陣を切って突入した秀吉の奇策によりあっけなく落城した小谷城だが、実際には難攻不落を絵に描いたような巨大山城だ。現地に足を運んでみるとそれがよくわかる。

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東麓から見た小谷城

 標高495mの小谷山は、谷を挟んで2本の尾根が伸びている。“狭義”の小谷城は東側の尾根を指し、大半の人はこちらのみを訪れる。ただし広い意味では東の尾根や周囲の支尾根、谷間に至るまで小谷山全山が小谷城だともいえる。それらをすべて踏破してこそ、その堅固さがわかるはず。今回は、小谷城完全制覇作戦だ。

広義の小谷城全景。右が本丸のある東尾根。正面奥が小谷山山頂

敵の陣城は目と鼻の先に

 全域制覇にはおそらく丸1日かかるだろうと予測し、出発は午前7時半。初めに西尾根を南から北へ辿り、Uターンするように東尾根へと向かう計画だ。

小谷城一帯の地形図(現地案内板より)

 登山口から早々に現れるのが「出丸」。のっけから丁寧な土塁がグルリ。木々の隙間から見えるのは虎御前山城(とらごぜやまじょう)。秀吉ほか織田軍が小谷城攻めで駐屯した陣城(前線基地)だ。直線距離だと1kmくらいでは? この距離で睨み合っていたのかと思うとゾクゾクする。

出丸の二段の曲輪のうち先端側。右奥の山影が虎御前山城

 出丸直下の山腹には車道がある。実は麓から中腹の「番所」まで季節によりシャトルバスも出ているのだが、一般車両は進入禁止。歩きやすさよりも雰囲気重視、尾根伝いの登山道を登る。

「金吾丸」、番所を過ぎ「御馬屋」にたどりつく。「籠城戦で馬は不要なはずだけどな……」と毎度思うが、山城でも馬関連の名がついた遺構は意外と多い。御馬屋の一角には「馬洗池」もあった。

御馬屋。広大な平坦地の端に土塁もある
馬洗池。部分的に石積も見られる

 セオリー的に考えれば水の手(城内の水源)だとは思うが、鉄分を含んでいるのか赤いのが気になる。深さも数十cmほどだし、もしや成分的に飲用には適さず、本当に馬洗い用だったのかも……。

小谷城内の御馬屋から見た虎御前山城

 曲輪の端まで足を運ぶと、虎御前山城が正面にはっきり見えた。出丸よりは距離があるが、やはり近い。しかし標高はこちらの方が上なので、織田軍の動きは城内から手に取るように掴めそうだ。