秀吉の駆け上ったあの場所へ
山崎丸からは10分ほどで登山口の清水神社にたどり着く。これで2つの尾根を完走、つまり支城や出丸を含む小谷城をコンプリートしたことになる。16時30分。日没までもう少し時間があったので、疲労困憊だが気合いを入れ直し2つの尾根に挟まれた「清水谷」へ。
谷の奥まった場所に、実は小谷城の戦いに関する重要スポットが隠れている。徳勝寺から薄暗い谷間へ入り込み、5分ほどで目的のものが見えてきた。「水ノ手」だ。
今も滔々と湧水が流れ落ちているこの谷間、実は秀吉が強攻突入したルートにあたる。「大嶽城と出丸はもちろん、さらにここまで来てこそ、小谷城完全制覇といえるのではないか」と一人合点。しかしこの坂を駆け上ったのか、やはり天下を獲る男のやることは違うな、と思う。
今も一応、小谷城まで登山道は伸びているらしいが、流石にこの時間からは無謀過ぎるので、またの機会に。
完全制覇ついでに、さらに奥まった場所にある「三田村屋敷」「土佐屋敷(大野木屋敷)」へ。
清水谷の最も奥まったところにある土佐屋敷の石垣が圧巻だった。
これは屋敷というより城郭遺構では? 少し登れば六坊や月所丸だし、谷筋から登って来る敵を阻止するための防備を固めていても不思議ではない。第一、生活するには日当たりも悪そうだし……。
前言撤回。この土佐屋敷の石垣まで押さえてこそ、「小谷城完全制覇」だと。丸一日歩き通しはなかなかハードだったが、満足度は非常に高い小谷城攻めだった。
写真=今泉慎一



