プロ野球中日は球団創設90周年のメモリアルイヤーを迎えている。しかしチームは開幕から5連敗、一時は借金がはやくも13に膨れ上がり、井上一樹監督(54)の休養説が取り沙汰される事態にも発展した。
5年連続Bクラスと低迷は続いているものの、井上監督が就任した昨季は4位に浮上したこともあって、今季の下馬評は決して低くはなかった。それだけに、最下位に沈む現状は期待を裏切るもので、井上監督は「ファンに喜びを与えることができてない責任を感じている」と責任を一身に背負う姿勢を示している。
とはいえ現場だけを責められない苦しい事情も見え隠れするのも事実で、その1つが、ヤクルトからの移籍でヘッドコーチに就任した嶋基宏氏(41)の存在。この人事は井上監督の意向ではなく、フロントの主導によるものだというのだ。
監督の補佐役であるヘッドコーチは戦術や起用方針を共有する一蓮托生の関係で、監督が絶対的な信頼を置く人物が務めるのが常だ。
しかしある球団OBは、井上監督と嶋ヘッドコーチの“微妙な距離感”を指摘する。
「(試合中の)ベンチでの2人の間にも距離が感じられますし、密な意思疎通ができていないように見えます。今の中日でいちばん野球を知っているのは嶋だと思いますが、彼の知見が十分に生かされている気配はありませんね」
嶋との距離が如実に出た、落合氏の招聘
今季、中日は本拠地のバンテリンドームナゴヤにテラス席を新設し、昨季までよりホームランが出やすい環境を整えた。長年チームの課題とされてきた長打力不足の解消につながるという期待もあったが、結果は完全に裏目に出ている。
打線があいかわらず得点力を欠く一方で、強みだった投手陣は球場に対応できずチーム防御率が昨季の2.97から3.61(5月10日現在でリーグ最下位)に悪化している。
投手陣のテコ入れが急務となり、4月中旬には2軍を中心に指導していた落合英二投手コーディネーター(56)を1軍に急遽呼ぶなど対策に追われている。
立浪和義前監督(56)時代、立浪前監督が希望したPL学園高の後輩である宮本慎也氏や、前日本代表監督の井端弘和氏にヘッドコーチ就任を断られた際に投手コーチと兼任でヘッドコーチを務めたのも落合コーディネーターだったが、機能したとは言い難い状況だった。
前出のOBは、投手陣の立て直しに嶋ヘッドコーチの力を借りるのではなく、わざわざ落合コーディネーターを呼んだことへの違和感をこう語る。
「嶋は捕手出身なのでディフェンス面の立て直しには適役だと思っていたのですが、井上監督は気心が知れた英二を頼りにしたんでしょう。ただヘッドコーチの嶋が疎外感を感じるのは確実だと思います」


