高市早苗首相は5月8日、高市陣営のメンバーが昨年秋の自民党総裁選で他の候補を誹謗中傷する動画を作成し、SNSに投稿していたという「週刊文春」の報道について説明を行った。

 参議院本会議で立憲民主党の議員に本報道について問われ「他の候補に関するネガティブな情報、動画を作成して発信するといったことは一切行っていないと報告を受けている」と答弁した。

 一体、どのようなことを「週刊文春」は報じたのか。小泉進次郎氏や林芳正氏への中傷動画作成について詳報した記事の冒頭部分を抜粋してお届けする。(記事全文は「週刊文春 電子版」および4月30日発売「週刊文春」で配信中)

参院本会議で答弁する高市首相 ©時事通信社

 政治の世界をインターネット、SNSの発信が席巻している。国政選挙でもネット上が主戦場となり、政治家がこぞって公式発信に取り組む一方で、出所不明の投稿は無法地帯と化している。真偽不明なデマや中傷が飛び交い、過激な言葉で再生数を伸ばす収益目的の「政治系アカウント」が横行する。

 今年4月1日には与野党協議会が、選挙中のSNS対策をめぐって議論。自民党側の責任者・逢沢一郎衆院議員が「法改正も視野に入れる」と明言し、ルール作りを急ぐ。こうしたネット世論全盛の時代に誕生したのが高市政権だ。

謎の匿名アカウントに投稿された3本の動画

 動画の投稿主「真実の政治」(英語表記IDは「true_politics.real」)も、そんなネット世論の一端を担う政治系アカウントの1つだった。アイコンは光に包まれた瞳がこちらを見つめるイメージ画像で、プロフィールには「このアカウントでは【真実】だけを語ります」と書かれている。

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 総裁選の期間中である9月26日から10月1日にかけて、計3本の動画を投稿していた。

 1つの動画では、小泉氏が目を瞑った写真を使い、冒頭の通り〈カンペで炎上!無能で炎上!〉と、勢いよく男性風の声が読み上げて揶揄している。

 続けて林氏の写真を表示し、〈そもそも林くんって国民のために働いてくれてたのかなー?〉〈石破路線を継承します!あらららららー。完全にアウトーーー!!〉。さらに〈僕ちゃん総裁になったら国民のお金でオネエちゃん達と毎日パーチーだぁ!ってかぁー?〉と、シャンパンを掲げる女性のイメージ映像とともに批判。総裁選について〈ももももしかしてー! 出来レースだったりしちゃうー?〉と疑いを向けた。

 

 別の70秒ほどの動画の冒頭では〈林くんルール破っちゃったー 文書送付投票依頼は完全アウト〉とし、〈そんな人は出馬しないで下さーい〉と呼び掛ける。

 そして3本目は〈林・小泉アウトー👍〉〈小泉!アウトー👍〉と連発。〈選挙法違反〉を謳い、総裁選でのリーフレット送付を巡る真偽不明な疑惑を向ける。だが、総裁選は公職選挙法の適用対象に含まれておらず、誤認を招く表現だ。

 小泉、林両氏を中傷するこれら3本の動画は、高市陣営がSNS上にバラまいた大量の動画のうち、ほんの一部なのだ。

投稿予告のメッセージ

「動画作戦」を牽引したのは、高市氏の最側近である公設第一秘書・木下剛志氏(高市早苗事務所長)らだ。木下氏は、のちに動画作成の主力を担うことになる男性に対して、メッセージで様々な依頼や共有事項を送っている。例えば、9月26日にはシグナルにて、先の「真実の政治」の動画を〈これからアップしてアカウントを送付致します〉と予告しているのである。

動画投稿を予告するメッセージのやりとり(実際のやりとりは「週刊文春 電子版」にて公開中)

 防衛相の小泉氏と、総務相の林氏に訊くと文書で以下の通り回答があった。

「総裁選におけるご質問のリーフレットの送付につきましては当事務所では全く認識しておりません(略)また、総裁選の際、ネット上でさまざまな動画や投稿などがあったことは承知していますが、個別詳細については把握しておりません」(林氏)

「昨年の自民党総裁選挙中を含めて、さまざまな投稿があったことは承知しているところです。通常の選挙の場合も含めて、このような虚偽の投稿が民主制に悪影響を与えているということは広く認識されているところです」(小泉氏)

 現在配信中の「週刊文春 電子版」および4月30日(木)発売「週刊文春」では、高市陣営によるSNS作戦の実態を詳報。公設第一秘書と陣営スタッフのやりとりを示す写真やターゲットになった政治家をリスト付きで詳しく報じている。さらに「週刊文春 電子版」では、高市陣営が作成した実際の動画も公開している。

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