なぜ、主戦場だった郊外から都市部へと進出?

 イオンは三重県で創業、中部地方から拡大していった歴史がある。どんどんと全国展開を進めつつ、並行して地域ごとにM&Aでシェアを拡大しながら今では大都市圏以外ではほぼトップシェアを確保するようになった。

 具体的には、2000年代以降に金融危機で経営破綻した総合スーパー(マイカル、ダイエー等)を傘下に入れ、流通大手としての地位を確立。全国各地の食品スーパーの再編も進め、地方におけるシェアを拡大してきた。

 2024年度の地方におけるイオンの存在感は図表2の通りで、概ね地域トップクラスのシェアを確保しており、中でも北海道、中四国、九州ではトップシェアとなっている。

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図表2(2024年度の首都圏・京阪神圏を除くスーパー業界売り上げ。各社公表数値から作成しているためリスト外だが、東北では非公表のヨークベニマルが3000億円規模でトップクラスと見られる)

 なおこの推計に地域売上を公表していないイオンリテールは入っていない。その点を加味すると、イオンは中部地方でもトップシェアを確保していると思われる。

 図表2で触れなかった首都圏、京阪神といった大都市圏においては、地方と比較してシェア獲得が遅れていたが、それでも2010年代以降は着実に資本関係を強化してきた。首都圏にUSMH(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)をつくり、京阪神でもイオンリテール、ダイエー、光洋を併せるとトップクラスに位置づけられるところまで拡大している。

 最近では首都圏、京阪神でも地域子会社を再編し、首都圏ではUSMH+ダイエー(関東)+ピーコックストアなどを統合すること、京阪神ではダイエーとその子会社である光洋を統合することを発表した。トップシェア獲得を宣言しているなど気合いは十分だ。

3月、京成新津田沼駅前に「イオンモール津田沼South」がオープンした(写真はオープン前のようす、プレスリリースより)

 地方での存在感を確立したイオンは、全国制覇の総仕上げとして、大都市圏でのトップシェア確保を加速する、というステージのようだ。前段の図表1も、そんなイオンの大都市攻勢を裏付けるような出店だとみていいのだろう。

 ただ、首都圏、京阪神といった人口規模が大きく、かつ減少度も少ない大きなマーケットは強力なライバルも多い。イオンがM&A、再編を進めるだけで簡単に制覇できるような場所ではないようだ。