札束の代わりにカップ麺?

 この脱北者によれば、北朝鮮では1970年代、朝鮮総連が資金提供して建設した「平壌愛国ククス(麺)工場」で袋入りのインスタントラーメンが生産されたのが始まり。2010年代になると、中国からカップラーメンの生産ラインを導入し、国産のカップラーメンを製造している。正恩氏が持ち込んだのも、おそらく同じものだろう。

 あるいは、崔賢など北朝鮮軍の食料供給システムが不十分なのかもしれない。前出の元海自幹部は「就役前なので、崔賢の調理室に火が入っていなかった可能性がある」と語る。同時に、「就役を1カ月後に控えた段階で、十分な食事を供給できないのであれば、それはそれで深刻な問題だ」と語る。

 朝鮮中央通信によれば、崔賢は様々な洋上試験を行っている模様だ。最低でも数日間の航海が必要になる。海自艦の場合、野菜など1週間くらいしか保存がきかない「生糧品」と、肉類など冷凍が可能で1カ月程度は保存できる「貯糧品」を搭載する。航海任務が長引く場合は、洋上補給も受ける。北朝鮮海軍は、こうした食料の補給システムに不安を抱えている可能性がある。海自元幹部は「内情がどうであれ、北朝鮮海軍の弱さを想像させる写真は公開するべきではなかった」と指摘する。

ADVERTISEMENT

画像は朝鮮中央通信より

 複数の脱北者によれば、金正恩氏は「兵器好き」「箱物好き」で知られる。軍事工場で最新の兵器を視察したり、新しい工場や病院を訪れたりするのが大好きだという。北朝鮮メディアの伝える写真を見る限り、兵器や医療機器は立派に見えるものの、そこで働く人々の服装などはこの数十年間ほとんど変わっていない。最高指導者が関心を向けるものだけに集中的に資金を投資した結果と言えるだろう。