的確だが損なグラフィック
このグラフィック仕様は、結果としてFFとまったく逆の画面づくりである点も興味深いものがあります。
『FF7』『8』『9』は一見フル3DのCGに見えますが(ここまでの回でも便宜上そう表現していた部分がありますが)、実際のところは戦闘画面のみがリアルタイム描画のフル3Dで、マップ画面ではキャラクターだけが3Dポリゴン、背景は2Dの書き割りなのです(この背景部分は開発段階において3DCGで描画したものをレンダリングして一枚絵に変換しているので、あまりそういう部分に興味のないユーザーはなんとなく3Dっぽいイメージをもっていたかもしれませんが、仕様上は2Dです)。
このことで『FF7』『8』『9』はひとつひとつの背景が構図として固定される分、いわば映画におけるカメラワークの要素をゲーム画面に持ち込みました。このショットは俯瞰になっている、このショットは人物の顔に寄っている、ここは通路の向こう側へ歩いていく人物を背面から撮っている、そのように映画の映像文法を応用しながら、スーファミまでのほぼ「真横」か「真上」からのアングルしかなかったゲーム画面とはまったく異なる、ダイナミックな構図を演出することに成功しています。
それに対し、『ドラクエ7』はマップ画面の背景をフル3Dにしたことで、ゲーム内の世界をぐるぐる回して、360度どんな角度からでも見ることができる、というのが売りでした。これは実際、操作する面白味や手触りの良さという意味では『FF7』『8』『9』よりも勝っていたと思いますが、効果としては画面に迫力をもたせるというよりも、一種のミニチュアのようなゲーム世界を手のひらで自由に角度を変えて眺める、という感じの表現になっていました。
これはいわばドット絵時代のゲームが持っていた「ミニマル感」「抽象化された可愛さ」を維持したまま、当時の新しい技術である3Dポリゴンに変換するという意味でとても的確で繊細な画面づくりです。いま見ると、むしろ当時のFFよりも古さを感じさせないタイムレスな魅力があるのですが、当時そういった魅力は市場的にインパクトがなく、どちらかというと「期待したほどすごくない」という損なイメージを持たれてしまっていました。

